【水道から“お湯”!?】真夏の水道トラブル完全ガイド
〜火傷・熱中症・給湯器トラブルを防ぐために〜

住まいのお助け隊

2025.07.23

Column

水道の蛇口から「熱っ!?」と感じたら読む話

ある夏の日、洗面所の蛇口をひねった瞬間、思わず手を引っ込めるほどの熱さを感じたことはありませんか?
「給湯器も使っていないのに」「レバーは水側にしていたのに」──そんな不思議な現象。
実はそれ、夏の水道に潜む“あるある”な落とし穴です。

近年、気温上昇やヒートアイランド現象の影響により、夏の水道水がまるで給湯器で温めたような水温になるケースが急増しています。
さらに、築年数の古い住宅、南向きのベランダ、日当たりの良いキッチンなど、条件が重なると、40℃を超える“熱水”が水道から出てくることも。
それは一時的な驚きではなく、火傷・熱中症・機器劣化・生活コストの上昇といった、多くのリスクの入口でもあります。

本コラムでは、そんな「夏の熱い水」に関する現象を深掘りし、

  • なぜ水が熱くなるのか?
  • どんな影響があるのか?
  • 家庭でできる対策は?
  • プロに頼むべきタイミングは?

などを、幅広く・深く・実践的に解説していきます。

体験談 ── 給湯器を使わずシャワーを浴びられる家

まずは、筆者の実体験から紹介します。

私の住んでいるのは築25年以上の鉄筋コンクリートアパート。立地は南向きで、午前から夕方まで日光がしっかり差し込む──というと聞こえは良いですが、夏になるととんでもないことになります。

朝8時に蛇口をひねったとき、出てくる水がお湯に近いぬるま湯。昼間になると完全にシャワー温度です。
実際、給湯器のスイッチを切ってシャワーを浴びても全然問題ない、というかむしろ熱すぎる。夜になっても水温は下がらず、ずっと“ぬるいまま”。

はじめは笑い話でしたが、ある日、外の蛇口で猫の水皿に水を入れようとしたときに気づきました。
「うわっ…これ熱すぎて飲めへんやん」
ペットにさえ危険な水温。それを考えたとき、「これは放置できないな」と感じ始めました。

なぜ夏に水道水が熱くなるのか?──その科学的メカニズム

一見不思議なこの現象。しかし、理屈はとてもシンプルです。
要因は主に以下の3つに分けられます。

① 地中の浅い配管と地表温度の関係

日本の多くの住宅では、水道管は地中30〜40cmほどの浅い場所に埋設されています。
これは施工コストや凍結防止(地域によっては浅い方が都合がよい)という理由もあります。

ところが、真夏の地表温度は50〜60℃を超えることもあり、その熱が地中へと伝わります。
地面自体が暖房のような役割を果たしてしまい、配管内の水が「自然加熱」されてしまうというわけです。

② 露出配管・ベランダ蛇口への直射日光

もっとも熱の影響を受けやすいのは、屋外に露出している配管・蛇口です。
とくに金属製の水道管・蛇口は、太陽光を浴びると一気に高温になり、触れるだけで火傷するレベルになることも。

その中を通る水も当然温められます。しかも、使われていない時間に熱がじわじわ蓄積し、最初に出てくる水が最も熱いという状況を招くのです。

③ 給水の滞留と温まりやすい素材

配管の長さや構造にも要注意です。
長い配管の途中に水がたまってしまうような環境では、滞留時間が長くなるぶん、熱が伝わりやすくなります。

さらに、配管素材が金属や劣化した塩ビなど、遮熱・保温性能が低い素材であれば、外気温や地熱の影響をモロに受けます。

こんなところに!? 暮らしの中での“熱い水”の落とし穴

水道の水が熱くなる──それ自体は、たしかに不快ではありますが、「まあ我慢すれば…」とスルーしがちです。
しかし、その影響は意外なところにまで広がっています。

キッチンでの野菜洗いが台無しに

夏場、冷しゃぶやサラダを作るために野菜を洗ったら、レタスがしんなりしてしまった。
それは、熱い水道水が野菜に直接触れてしまったからかもしれません。

冷やしたい料理の準備に熱い水が出てくるというのは、衛生面や食感にも大きく関わる問題です。

朝の洗顔や歯磨きが不快に

洗面所の水も、配管の取り回し次第では30〜40℃以上になります。
朝から顔を洗おうとして、ぬるま湯で汗がさらに噴き出してしまう。歯磨き中もスッキリしない。

こうした日常の不快感が積もり積もって、「夏は水回りが憂うつだ…」という気持ちに。

ペットや植物への影響も深刻

犬や猫の飲み水、ベランダのプランターへの水やり。
水温が高いと、ペットの体温調節が難しくなったり、植物の根が傷んだりします。

特に夕方以降のタイミングで水やりをする場合、「熱くなった水をそのまま使っていた」というのは意外と見落としがちです。

健康と安全の観点から見る“熱い水”のリスク

「熱い」と感じるだけならまだしも、水道水の高温化は実際に健康被害や事故につながる可能性があります。

子どもの火傷

小さな子どもは皮膚が薄く、熱への耐性が低いです。
親が目を離したすきに、蛇口をひねって熱水が出て火傷──そんな事例も報告されています。

特に夏場は、給湯器がオフになっていても“熱い水”が出てくるため、「安心」してしまうことが逆にリスクになります。

高齢者の熱中症リスク

高齢者は暑さを感じにくくなっている傾向があります。
そのため、熱い水で手や顔を洗っても気づかず、身体が芯から熱を持ってしまうということも。

また、熱い水の不快感から水分補給を避けるようになり、脱水・熱中症につながることもあります。

隠れたリスク:配管の劣化と水質の悪化

水道管が熱にさらされ続けると、配管の樹脂や接着材の劣化が早まります。
すると、サビや汚れが水に混じり、水質にも悪影響を与える可能性が出てきます。

これが知らぬ間に進行すると、「水が変な味がする」「臭う」「フィルターがすぐ詰まる」など、別の形で表面化してきます。

生活コスト・環境負荷にも影響が

水道水が熱くなるという一見「気温のせい」と思える現象。
実は、家計や環境にも見えない負担をじわじわと与えています。

無駄な捨て水がかさむ

「最初に出てくる水が熱すぎて使えないから、一度流してから使う」
このちょっとした習慣が、1日数リットル、月間数百リットルの無駄水につながっています。

また、シャワーや洗面台、キッチンなど複数箇所で同様のことが起きるため、水道料金が夏だけ異常に高くなる家庭も。

水冷やし用の電気・冷蔵庫コスト

飲料用の水を冷やすために、冷蔵庫で水筒を何本も冷やすようになったり、氷を大量に作るようになったり。
これらはすべて、熱い水が原因で生まれた“余計な電力消費”です。

電気代が高騰している今、夏の水道熱問題は“光熱費”にも直結しているのです。

浄水器・フィルターの早期劣化

熱い水が通ると、家庭用の浄水器やポット型フィルターが傷みやすくなります。
本来数ヶ月使えるはずのフィルターが、1〜2ヶ月で性能低下を起こすケースも。

結果的に、フィルターの交換頻度と費用が増えるという負のループが生まれます。

いますぐできる“熱い水”への対策集

水道水の温度が上がる現象は、構造的な問題もありますが、日常的な工夫である程度緩和できることも事実です。ここでは、特別な工具や施工が不要な“セルフ対策”をご紹介します。

保温・遮熱グッズを活用する

  • 屋外の露出配管に保温チューブを巻く(ホームセンターで数百円で購入可能)
  • 蛇口の金属部に断熱キャップを取り付けて直射日光を避ける
  • 水栓部分に小さな簡易日よけ(傘・布・段ボール)を設置

これだけでも、実際の水温が5〜10℃下がることがあります。

水の“流し方”を工夫する

  • 使用前に5秒だけ水を出して最初の熱水を排出する
  • 熱い時間帯は水の使用を控える(朝や夜にシフト)
  • 洗面所・キッチンは冷水用に専用ペットボトルを常備するなどの工夫

手間はかかりますが、安全性や快適性のためには有効な手段です。

環境自体を涼しく保つ工夫

  • ベランダにすだれや遮光ネットを設置して直射日光をカット
  • 打ち水や屋根の塗装など、外気温の上昇を抑える工夫を取り入れる

特に、日当たりの良すぎる住宅では“住環境そのものの遮熱対策”が効果的です。

実は危険!? よくあるNG対策とその理由

自己流で対策をしたつもりが、逆に問題を悪化させてしまっているケースも多く見られます。
ここでは、“やってしまいがちな間違い”をいくつか紹介します。

タオルや布を配管に巻くだけ

確かに直射日光は遮れますが、布が湿気を吸ってカビの温床になったり、保温性が低くて効果が薄かったりします。

特に長期間放置したタオルは、内部が腐敗してしまうこともあり、逆効果です。

ホースをつけっぱなしにする

ガーデニングや洗車用にホースを常設している家庭では、ホース内の水が超高温化するリスクが。
実際、夏の昼過ぎにホースから出る水の温度が50℃近くになることもあります。

一時的なつもりでも、使わないときはホース内の水を抜き、日陰に移動しておくのが安全です。

日よけグッズの設置場所を誤る

よかれと思って設置した日よけが通気を妨げ、熱がこもる構造になってしまっているケースもあります。
断熱も大事ですが、“風通し”を確保するのも忘れずに。

住まいの種類や給湯設備別の注意点

水道の熱さ問題は、住まいの構造や設備によっても差があります。ここでは、タイプ別に注意点をまとめます。

木造住宅・古いアパート

 

  • 外壁や床下の断熱性が低く、熱がダイレクトに配管へ伝わりやすい
  • 屋外の配管がむき出しのケースが多い
  • 保温材が劣化している、または最初から施工されていない場合がある

→ 保温材の巻き直し・日除け設置の検討を

鉄筋コンクリートのマンション

  • 一見遮熱性は高いが、屋上タンクの水温が上がりやすい
  • 長時間滞留した水が“タンクで温められて”各戸へ供給されるケースも

→ タンク保温施工や、遮熱シート設置の相談を管理会社へ

エコキュート・貯湯式給湯器を設置している家庭

  • 機器本体や配管が太陽熱の影響を受けやすい場所にあると高温化
  • ヒートポンプ部が故障していると、冷水側にも影響を及ぼすことも

→ 夏でも年1回はメンテナンス・温度チェックを

その“ぬるさ”、放っておくと大トラブルに!?

「夏場にぬるい水が出るなんて、ちょっと不快なくらいでしょ」と侮っていると、思わぬ設備トラブルに繋がる可能性もあります。
ここでは、“ぬるい水”がサインとなる具体的な設備不良や、放置によるリスクをご紹介します。

劣化した給湯器の逆流現象

給湯器内部のバルブや断熱材が劣化すると、給湯側の熱が冷水側へ伝わることがあります。
すると、給湯器を使っていないはずなのに、常に冷水側がぬるいまま──という症状が出ます。
この現象は冬場には“異常”として気づきますが、夏は気づかれず劣化が進行するため要注意です。

配管・継手の劣化による漏水・腐食

常に高温の水が流れることで、特に古い塩ビ管や金属管では、継手部が膨張・収縮を繰り返して緩んでくることがあります。
それが原因でじわじわと漏水が発生したり、見えないところで腐食が進行してしまうケースも。

フィルター・逆止弁・カートリッジの異常劣化

浄水器や食洗機などの接続部にも、熱の影響は確実に届いています。
とくに逆止弁やカートリッジは、耐熱性の低い素材が使われていることも多く、高温により性能低下や破損が起きやすいです。

ミヨシテックならではの小さな困りごとへのサポート

「水が熱くて困ってる」「でも大ごとってわけでもないし…」
そんなときこそ、地域密着型のプロにご相談ください。ミヨシテックでは、以下のような “ちょっとした水回りのお悩み”にも対応しています。

水栓・蛇口の交換(屋内外問わず)

古くなった水栓や、遮熱機能のない蛇口の交換を最短当日〜数日内で施工対応します。
※人気の“断熱キャップ付き蛇口”などへの交換も可能です。

屋外配管の点検・遮熱施工

むき出しの配管に遮熱材・保温材の巻き直しを行います。
必要に応じて破損・劣化箇所の補修や水漏れ検査も行い、総合的な見直しが可能です。

給湯器の不具合診断・交換

「ぬるさが異常?」「給湯器のせい?」と不安なときには、現場調査・簡易診断は無料で対応。
交換が必要な場合も、最新の高効率給湯器の提案〜設置までワンストップで対応します。

LINE・写真でのかんたん相談窓口も

「これ、相談するほどかな…?」という内容でも、LINEやメールで写真を送っていただければ無料でアドバイス可能です。
施工不要なケースでも、遮熱グッズの紹介やアドバイスも行っております。

熱くなった水道水を「放置しない」が未来の安心につながる

真夏の“熱い水”は、一見するとただの「不快感」や「驚き」にしか思えないかもしれません。
ですが、この記事を通して見えてきたように、それは火傷・熱中症・水道代の増加・設備劣化といった、生活のあらゆる側面に潜むリスクの前触れでもあります。

特に日本の気候は、年々過酷さを増しており、「今年は異常だな…」が「毎年恒例」に変わりつつあります。
そんな時代だからこそ、“気づいた人”が家族と暮らしを守る知恵と行動を持つことが重要です。

  • 「ちょっと水がぬるいな」と思ったら、まずは対策を
  • 住まいの状態に合った遮熱・保温対策をチェック。
  • 設備に不安があれば、無理せずプロに相談。

ミヨシテックでは、そんな“気づき”をきっかけに小さなことから親身に対応する体制を整えています。
熱中症対策や設備メンテナンスをお考えの際は、どうぞお気軽にご相談ください。