業務用ガス空調機器にはどんな種類がある?
GHPと吸収式冷温水機の違いやメーカーを解説

エアコン

2026.08.06

Column

「施設の空調更新を任されたけれど、GHPや吸収式といわれても違いがわからない」

「ガス空調と電気空調は、結局どちらがよいのだろう」

工場や病院、オフィス、店舗などの空調設備を見直す際、こうした疑問を持つ設備担当者の方は少なくありません。業務用空調は家庭用エアコンとは異なり、建物の規模や使い方、既存設備、エネルギー契約まで含めて考える必要があります。

ガスを利用する代表的な空調機器は、GHP(ガスヒートポンプ)吸収式冷温水機(ナチュラルチラー等)が主流です。ただし、同じガス空調でも、冷暖房をつくる仕組みや適した施設は大きく異なります。

この記事では、それぞれの特徴と違い、GHPの主要メーカー、導入・更新前に確認したいポイントをわかりやすく解説します。

ガス空調機器にはどんな種類がある?

更新後室外機

GHPは冷媒を循環させて各室を空調する方式、吸収式冷温水機は冷水や温水をつくって建物全体へ送る方式です。

GHP(ガスヒートポンプ・ガスヒーポン)

GHPは「Gas engine Heat Pump」の略で、一般にはガスヒートポンプエアコン、ガスヒーポンとも呼ばれます。

電気式の業務用エアコンが電動モーターでコンプレッサーを動かすのに対し、GHPは都市ガスやLPガスを燃料とするガスエンジンでコンプレッサーを駆動します。冷媒を循環させて熱を移動させるヒートポンプの仕組み自体は、電気式空調のEHPと共通しています。

GHPの主な特徴は、次のとおりです。

  • 空調運転時の電力使用量を抑えやすい
  • 夏場の電力ピークや契約電力の抑制につながる
  • エンジン排熱を暖房に活用できる機種がある
  • 部屋ごとの個別空調に対応しやすい
  • エンジンオイルや消耗部品の定期交換が必要

オフィスや店舗、学校、医療施設など、部屋ごとに使用時間や温度設定が異なる建物で採用されています。

GHPと電気式空調の違いを詳しく知りたい方は、GHPとEHPの仕組みや特徴の違いもご覧ください。

吸収式冷温水機(ナチュラルチラー等)

吸収式冷温水機は、ガスの燃焼熱や蒸気、廃熱などを利用して冷水または温水をつくる熱源機器です。ガスを熱源とするタイプは、ガス吸収冷温水機やナチュラルチラーと呼ばれることもあります。

冷房時は、水が蒸発するときに周囲の熱を奪う性質を利用します。一般的な機器では、冷媒に水、吸収液に臭化リチウム水溶液を使用し、蒸発・吸収・再生・凝縮という工程を繰り返して冷水をつくります。

つくられた冷水や温水は配管を通じて、エアハンドリングユニットやファンコイルユニットへ送られます。そのため、吸収式冷温水機は建物全体をまとめて空調する中央空調に適しています。

主な特徴は次のとおりです。

  • 大規模施設の中央空調に適している
  • 冷房運転時の電力負荷を抑えやすい
  • コンプレッサーを使用しないため、運転音や振動が比較的小さい
  • 機械室や冷却塔などの周辺設備が必要になる場合が多い
  • 吸収液、冷却水、ポンプ、冷却塔を含めた専門的な管理が必要

ビル、工場、病院、ホテル、大型商業施設、公共施設などで多く利用されています。より詳しい仕組みや注意点は、吸収式冷温水機の仕組み・メリット・導入事例で解説しています。

GHPと吸収式冷温水機の違いを比較

吸収式冷温水発生器(更新後)

GHPは部屋ごとに運転しやすい個別空調、吸収式冷温水機は建物全体をまとめて管理する中央空調に向いています。
どちらが優れているかではなく、建物の規模や既存設備、空調の使い方によって適した方式が変わります。

比較項目 GHP 吸収式冷温水機
主な仕組み ガスエンジンでコンプレッサーを駆動し、冷媒を循環 熱を利用して冷水・温水を生成
空調方式 個別空調に向く 中央空調に向く
主な導入先 店舗、オフィス、学校、クリニックなど ビル、工場、病院、ホテル、公共施設など
電力負荷 抑えやすい 抑えやすい
主な保守対象 ガスエンジン、冷媒系統、消耗部品 吸収液、冷却水、冷却塔、ポンプなど
主な設置条件 室外機、ガス配管、冷媒配管など 機械室、冷温水配管、冷却塔など

GHPが向いている施設

GHPは、部屋や区画ごとに空調を運転したい施設に向いています。

たとえば、会議室は使用時だけ運転し、執務室は一日中運転するオフィスでは、個別制御がしやすいGHPが有力な候補になります。テナントごとに営業時間が異なる店舗や、教室ごとに利用状況が変わる学校にも適しています。

ただし、GHPはガスエンジンを搭載しているため、一般的な電気式エアコンとは保守内容が異なります。導入時には、定期点検や消耗部品交換を継続できる体制まで確認しておくことが重要です。

吸収式冷温水機が向いている施設

吸収式冷温水機は、大規模な建物を一括して空調する施設に向いています。

既存の建物に冷温水配管や機械室、冷却塔があり、中央熱源方式で運用している場合は、吸収式冷温水機の更新が現実的な選択肢になります。工場の工程から発生する廃熱や蒸気を活用できる施設では、エネルギーを有効利用できる可能性もあります。

一方で、営業時間や利用状況が区画ごとに大きく異なる建物では、中央空調だけでは細かな制御が難しいこともあります。既存方式をそのまま踏襲するだけでなく、個別空調への切り替えや併用も含めて検討することが大切です。

なお、冷水・温水をつくる設備には、ガスエンジンで冷媒回路を動かすGHPチラーもあります。GHPチラーの仕組みとEHPとの違いも、熱源方式を比較する際の参考にしてください。

なぜガス空調機器が業務用施設で選ばれるのか

ガス空調機器は、空調に必要なエネルギーを電気だけに集中させず、電力ピークを抑えやすい点が評価されています。
ただし、省エネルギー性やランニングコストは、機器の種類、運転時間、契約内容、建物の負荷によって異なります。

夏場の電力ピークを抑えやすい

業務用施設では、冷房を多く使う夏場に電力需要が集中します。GHPやガス吸収式冷温水機を利用すると、空調にかかる電力負荷を抑えられるため、契約電力や受電設備への負担軽減につながる可能性があります。

特に、製造設備や厨房機器、医療機器などで多くの電力を使う施設では、空調のエネルギー源をガスへ分散することが有効な場合があります。

暖房能力を確保しやすい

GHPはガスエンジンの排熱を暖房運転に活用できます。そのため、冬場でも比較的立ち上がりが速く、外気温が低い状況で暖房能力を確保しやすいことが特徴です。

朝の始業前に短時間で室内を暖めたいオフィスや学校、来館者の快適性を維持したい公共施設などでは、暖房時の運用も重要な比較ポイントになります。

環境性は建物全体で判断する

天然ガスは、他の化石燃料と比較して燃焼時の二酸化炭素や大気汚染物質の排出が少ない傾向にあります。しかし、天然ガスも化石燃料であり、使用時には二酸化炭素が発生します。

そのため、「ガス空調なら必ず環境にやさしい」「必ずランニングコストが安い」とは言い切れません。機器の効率や稼働時間だけでなく、電気・ガス料金、建物の断熱性能、換気量、保守費用まで含めた比較が必要です。

現場では、最新機種へ入れ替えるだけでなく、GHPとEHPを組み合わせる、中央空調の一部を個別空調へ変更するなど、施設に合わせた検討が求められます。

GHP(ガスヒーポン)の主要メーカーは?

GHPの主要メーカーとして、パナソニック、アイシン、ヤンマー、ダイキンが挙げられます。
メーカー名だけで決めるのではなく、必要能力、既存配管との整合性、設置条件、保守体制を比較することが重要です。

パナソニック

パナソニックは、GHPを展開する主要メーカーの一つです。既設機器から更新する場合は、室内機との組み合わせや冷媒配管の状態、既存システムの構成を確認したうえで機種を選定します。

アイシン

アイシンは、エンジン分野で培った技術を生かしたGHPを展開しています。機器の性能だけでなく、設置地域における保守体制や、将来の部品供給も確認しておきたいポイントです。

ヤンマー

ヤンマーも、エンジン技術を生かして業務用GHPを展開するメーカーです。長期間使用している既設機を更新する場合は、現在の運転時間や故障履歴、修理部品の供給状況を調査して判断します。

ダイキン

ダイキンは、業務用空調を幅広く展開するメーカーです。GHPだけに絞るのではなく、電気式のEHPや施設全体の空調構成も含めて比較することで、運用に合った方式を検討できます。

メーカー選びで確認したいポイント

GHPのメーカーや機種を比較するときは、次の項目を確認します。

  • 必要な冷暖房能力
  • 室内機の台数と個別制御の方法
  • 既存の室内機や配管を利用できるか
  • 室外機の設置スペースと搬入経路
  • ガス配管や電源などの設備条件
  • 点検・修理を依頼できる保守体制
  • 将来の部品供給と更新のしやすさ
  • 導入費、エネルギー費、保守費を含めた総コスト

同じメーカーから後継機へ更新する場合でも、既存配管を必ず再利用できるとは限りません。冷媒の種類、配管径、気密性、室内機との互換性などを現地で調査する必要があります。

ガス空調機器は「機器単体」ではなく設備全体で選ぶ

室内機更新後

業務用空調の選定では、カタログ上の能力や機器価格だけでなく、建物の使われ方と既存設備を確認することが欠かせません。
現地調査を行わずに機種を決めると、効き不足や過剰設備、想定外の追加工事につながります。

施設の使い方と空調負荷を確認する

必要な空調能力は、床面積だけでは決まりません。

人の出入り、在室人数、天井の高さ、窓の大きさ、日射、換気量、照明、パソコン、製造設備などによって空調負荷は変わります。厨房では調理機器から発生する熱や油、蒸気も考慮しなければなりません。

また、同じ施設内でも「一日中使う部屋」と「必要な時間だけ使う部屋」がある場合、空調方式を分けたほうが効率的なこともあります。

ガス・電気・配管などのインフラを確認する

ガス空調を導入・更新する際は、ガス供給能力、受電容量、冷媒配管、冷温水配管、排気、ドレン、室外機置き場などを確認します。

吸収式冷温水機では、機械室だけでなく冷却塔やポンプ、配管の状態も重要です。本体だけを更新しても、冷却塔の能力不足や配管の詰まりがあれば、本来の性能を発揮できません。

点検・保守費用まで含めて比較する

GHPには、ガスエンジンのオイル、オイルフィルター、点火プラグなどの点検・交換が必要です。吸収式冷温水機では、吸収液や真空状態、燃焼系統、冷却水、冷却塔などを管理します。

導入費用が安くても、保守体制が整っていなければ、故障時の停止期間が長くなる可能性があります。空調停止が事業へ与える影響も考え、予防保全や緊急対応まで含めて比較しましょう。

GHPの具体的な保守内容については、GHPの点検・保守・修理フルガイドで詳しく紹介しています。

大阪でガス空調機器の導入・更新を検討するなら

寝屋川市・枚方市を中心とした大阪北河内エリアでガス空調機器を検討する際は、GHP・EHP・吸収式冷温水機を横断して比較できる設備会社への相談がおすすめです。

株式会社ミヨシテックでは、工場、病院、店舗、オフィス、厨房、公共施設などの業務用空調に対応しています。現地調査から機器選定、更新工事、点検・保守まで、設備全体を見ながらご提案します。

「今と同じGHPへ更新すべきか」「電気式へ切り替えたほうがよいのか」「古い吸収式冷温水機を今後も使えるのか」といった疑問も、実際の運転状況や既存設備を確認しなければ判断できません。

特定の方式を先に決めるのではなく、現在の不満や故障履歴、運転時間、今後の施設利用まで整理しておくと、より現実的な更新計画を立てやすくなります。

まとめ|代表的なガス空調機器はGHPと吸収式冷温水機

ガス空調機器の代表的な種類は、GHPと吸収式冷温水機の2つです。

GHPはガスエンジンでコンプレッサーを動かし、各室を個別に空調しやすい方式です。吸収式冷温水機はガスの燃焼熱などを使って冷水・温水をつくり、大規模施設の中央空調に適しています。

GHPの主要メーカーには、パナソニック、アイシン、ヤンマー、ダイキンがあります。ただし、メーカー名や機器価格だけで選ぶのではなく、施設規模、空調の使い方、既存配管、エネルギー契約、保守体制まで含めて比較することが大切です。

寝屋川市・枚方市をはじめ、大阪北河内エリアや大阪府内で業務用空調の導入・更新・点検をお考えの方は、株式会社ミヨシテックへご相談ください。「この設備は何方式なのかわからない」という段階でも、現地の状況を確認しながら更新方法を一緒に検討いたします。