【業務用空調の新常識】吸収冷温水機とは?仕組み・メリット・電気式との違いと導入事例を解説

エアコン

2025.07.28

Column

空調の見直しが求められる時代

近年、エネルギーコストの上昇やZEB(ゼロエネルギービル)の推進、BCP(事業継続計画)対策などを背景に、業務用空調のあり方が問われています。中でも注目を集めているのが「吸収冷温水機(吸収式冷温水機)」です。

電気を主動力とするヒートポンプ方式とは異なり、ガスや蒸気、廃熱などの“熱”を利用して冷暖房を行う仕組みで、特に大型施設での採用が進んでいます。本コラムでは、その仕組みから導入メリット、導入時の注意点、そして実際の施工事例まで、専門業者ならではの視点で丁寧に解説します。

吸収冷温水機とは?仕組みと特徴をやさしく解説

吸収冷温水機とは、冷水・温水をつくる空調の「熱源機」の一種です。特徴的なのは、電気ではなく熱エネルギーを使う点にあります。

この装置は、「吸収」と「再生」というサイクルを用いて冷暖房を実現します。冷媒として水を使用し、それが蒸発することで周囲の熱を奪い冷却を行います。蒸発した水蒸気は、臭化リチウムという吸収液によって吸収され、その後、外部からの熱(ガス・蒸気など)で再び冷媒として再生され、循環します。

つまり、冷媒をコンプレッサーで圧縮する従来の方式ではなく、化学的な吸収反応を利用して冷却・加温を行うシステムなのです。

電気式ヒートポンプとの違いとは?

吸収式と電気式には、いくつかの明確な違いがあります。

動力源の違い

吸収式はガスや蒸気、廃熱などの熱を使います。一方、電気式ヒートポンプはコンプレッサーを電気で駆動します。

冷媒の違い

吸収式は水と臭化リチウム水溶液を利用し、フロン類を使用しません。電気式はフロンガスを使用することが多く、環境への負荷が懸念されます。

騒音の違い

吸収式は圧縮機を使用しないため静かです。電気式は運転時にコンプレッサー音が発生します。

BCP(災害対策)観点の違い

停電時でも、吸収式は非常用発電設備と熱源があれば運転可能です。電気式は電力に依存するため、停電時のリスクがあります。

初期コストの違い

吸収式は初期投資がやや高くなる傾向がありますが、長期的には運転コストや環境負荷の軽減で回収が可能です。

吸収冷温水機の導入で得られるメリット

吸収冷温水機の導入には多くの利点があります。以下に主なポイントを挙げます。

  • 電力使用量の大幅削減により、電力契約容量を抑制できる
  • フロンガス不使用で環境への負荷が少ない
  • 圧縮機がないため、静音性に優れ、病院や学校などでも導入しやすい
  • BCP対策に有効で、停電時でも継続運転が可能
  • 廃熱や蒸気などの余剰エネルギーを有効活用できる
  • 冷房と暖房の両方に対応でき、設備の省スペース化にも寄与
  • 国や自治体の省エネ補助金の対象となりやすい

これらの点から、吸収冷温水機は「高効率・低環境負荷・高耐久性」の空調設備として、多くの法人施設で導入が進んでいます。

導入時に気をつけたいポイント

とはいえ、吸収冷温水機には導入時にいくつかの注意点もあります。

設置スペースの確保が必要

吸収冷温水機は比較的大型の機器であり、屋上や機械室のスペースを要します。

臭化リチウムの管理が必要

年次点検や補充など、適切な維持管理が必要ですが、保守契約でカバー可能です。

初期費用が電気式より高め

しかし、長期の運用で光熱費削減効果が見込め、補助金も活用可能です。

ミヨシテックでは、現地調査やプラン設計の段階から丁寧にヒアリングを行い、こうした懸念点にもしっかり対応しています。

ミヨシテックの対応内容と強み

ミヨシテックは大阪ガス空調特約店として、これまでに2,000件以上の施工実績を持つプロフェッショナル集団です。吸収冷温水機に関しても、以下のような総合的なサービスを展開しています。

  • 吸収冷温水機の新規設置・更新・移設工事
  • 冷却塔、冷却水ポンプ、冷温水ポンプ、膨張タンクなどの付帯設備の更新
  • エアハンドリングユニット(AHU)やファンコイルユニット(FCU)の更新
  • 冷温水配管・冷却水配管・ダクト・電気・ガスなど付帯設備の設計施工
  • 試運転、運転調整、操作説明、完成図書の提出
  • 保守契約のご提案やアフターサポート

また、1級管工事施工管理技士13名、2級10名をはじめとする国家資格保有者が在籍しており、官公庁・医療施設・教育施設といった公共性の高い現場にも数多く対応してきました。

実例紹介:保健医療センター様の空調設備更新

実際の事例として、大阪府内の保健医療センターでは、内装改修にあわせて空調設備の更新工事が行われました。

この現場では、吸収冷温水機のほか、冷却塔、冷却水ポンプ、冷温水ポンプ、膨張タンク、エアハンドリングユニット、給気ファン、排気ファンなど、多数の機器更新が必要とされていました。

機器の多くは屋上の機械室に設置されていたため、撤去・搬出には分解作業が伴い、搬入時には現地での再組立が必要となるなど、非常に高い施工計画能力が求められました。

特に冷却水配管には、現地で加工が難しい口径125Aや150AのVLP-VA材が使用され、現地採寸→図面作成→工場発注→ボルト接合という手順で、綿密な施工が行われました。

工期は約5か月。安全管理・工程管理のもと、無事に試運転まで完了し、安定した全館空調が実現しました。

よくある質問(FAQ)

Q:どんな施設に向いていますか?
A:病院・庁舎・大学・商業施設・工場など、大規模で電力負荷の大きな建物に特に適しています。

Q:維持管理は大変ですか?
A:専門的な点検が必要ですが、保守契約を結ぶことで負担は軽減されます。

Q:補助金は使えますか?
A:国や自治体の省エネ補助金の対象になりやすく、申請支援も可能です。

対応エリア

ミヨシテックは関西一円に対応しています。

大阪府 大阪市全域、寝屋川市、枚方市、吹田市、豊中市、他全域
京都府 京都市、長岡京市、城陽市、宇治市 など
兵庫県 神戸市、西宮市、尼崎市、宝塚市 など
奈良県 奈良市、生駒市 など

「電気に頼らない空調」で未来を見据えた設備更新を

吸収冷温水機は、省エネ・環境性・静音性・BCP対応を兼ね備えた、次世代の業務用空調設備です。電力への依存度を下げつつ、エネルギーを有効活用し、快適な空間を支えます。

建物の空調設備を“未来のインフラ”と捉えるなら、単なる交換ではなく、「価値ある更新」が求められます。

関西での吸収冷温水機の導入・更新は、豊富な実績を誇るミヨシテックへぜひご相談ください。