エアコンの効果を高める適切な設置場所とは?
– 室内機・室外機について解説 –

エアコン

2024.10.05

Column

エアコンは設置場所によって効果が変わることがあります。室内機と室外機のそれぞれの効果をより高めるには、適切な場所に設置することが大切です。とはいえ、室内機と室外機をどこに設置すればいいのか分からない方もいるでしょう。

本記事では、エアコンの適切な設置場所を知りたい方に向けて、エアコンの効果を高める設置場所を、室内機と室外機のそれぞれについて解説します。エアコンの設置場所を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

エアコンを設置する場所には条件がある

エアコンを取り付ける際は、適切な設置場所を選ぶことが大切です。エアコンの設置場所が適切でないと、冷暖房の効きが悪くなることがあります。そのため、たとえ高機能・省エネ効果のあるエアコンでも、設置場所次第では本来の能力を発揮できないこともあるのです。例えば、エアコンの冷暖房運転が非効率になる、排水がうまくいかない、掃除しづらいなど、エアコン本体にかかる負担が大きくなり、故障の原因になりかねません。

適切な設置場所にエアコンを取り付けると、エアコン本来の能力を引き出しやすくなります。エアコンを効率良く稼働させるには、室内機と室外機の設置条件を確認した上でどこに設置すればいいのかを慎重に検討しましょう。

エアコン(室内機)の適切な設置場所

エアコンの室内機の設置場所は、室外機や床、配管穴などとの距離を考慮して決める必要があります。また火災報知器や障害物の位置も確認した上で、適切な場所を選ぶことが大切です。本章では、室内機の適切な設置場所を解説します。

なるべく室外機に近い場所

エアコンの室内機は、できる限り室外機から近い場所に設置する必要があります。室内機と室外機の距離が遠くなるほど、エアコンの運転効率が悪くなるためです。室内機と室外機を繋ぐ配管が長くなると、空気の交換がスムーズに行われにくくなり、冷暖房の効きが悪くなります。エアコンは室内の温度を設定温度にするためにフル稼働しなければならず、本体に大きな負担がかかる恐れがあります。そのため、室内機は外壁に面した場所に設置するのがおすすめです。

マンションの場合は室外機の設置場所が既に決まっていることが多いため、室外機の位置を確認した上で室内機の設置場所を決めることをおすすめします。一方、戸建ては室外機の設置場所をある程度自由に決められるため、エアコンを効率的に稼働させられる場所を選びましょう。

室内機の周囲に十分なスペースを確保できる場所

エアコンの室内機は、本体を設置しても周囲に十分なスペースが余る場所に取り付けることが大切です。室内機の周りにスペースがないと、設置後に後悔するかもしれません。例えば、室内機の上下左右に十分なスペースがないと、フィルターを取り外せない、隣接する壁が邪魔でメンテナンスできない、送風フラップにカーテンレールが当たってしまうなど、さまざまなトラブルが起こる恐れがあります。

室内機を設置する際に確保すべき距離は、天井から5cm以上、隣接する壁との距離は左右それぞれ5cm以上が推奨されています。また室内機を設置するそばにカーテンレールがある場合は、10cm以上の距離を確保しましょう。

ただし室内機を設置する際に確保すべきスペースは、エアコンの機種やメーカーによって異なるため注意が必要です。新築の場合は、運転効率が良くなる位置にエアコンを取り付けてもらえるよう、設計前に担当者へ伝えて考慮してもらいましょう。

床から1.8~2.3mの高さ

室内機の設置場所を決める際は、床からの高さも考慮しましょう。適切な高さの目安は、床から1.8~2.3mです。室内機の据付高さの目安が1.8~2.3mである理由は、一般的な戸建ての床から天井までの標準的な高さが2.4mであるためです。室内機を床から2.3m以上の高さに取り付けても本体が天井に当たる可能性があり、設置が難しくなります。また設置できても掃除やメンテナンスがしづらくなるでしょう。

メーカーによって推奨している据付高さが異なるため、購入したエアコンのメーカーが推奨する高さを参考に取り付けることをおすすめします。一般的に、室内機の設置場所として窓の上や横が挙げられますが、窓の横に室内機を設置する場合は、扉の開閉に支障が出ないかを確認しておきましょう。

配管穴よりも高い位置

エアコンの室内機の設置場所は、配管穴の位置を考慮して決めることが大切です。配管穴と室内機の位置が重要な理由は、配管を通して室内機内部で発生した結露水を排水しやすくするためです。配管にはドレンホースと呼ばれる結露水を排水する配管が設置されています。ドレンホースの役割は、室内機内部で発生した結露水や汚れを屋外に排出することです。

配管穴より低い場所に室内機を設置すると、ドレンホース内で結露水が行き場を失い、排水できなくなります。室内機内部で水が逆流すると水漏れを起こし、室内機の送風口から水が流れ出ることも少なくありません。水漏れが発生すると室内機が故障する恐れがあるため、結露水をスムーズに排水するには、室内機を配管穴よりも高い位置に取り付けることが大切です。

火災報知機との距離が1.5m以上ある場所

エアコンの室内機を設置する部屋に火災報知器がある場合は、報知器から1.5m以上離れた場所を選ぶことが原則です。消防法では、全ての住宅に火災報知器の設置を義務付けています。火災報知器の動作を妨げないためにも、十分な距離を取った場所に室外機を取り付けましょう。

送風を妨げる障害物がない場所

エアコンの室内機は、正面や真下に障害物がない場所を選んで取り付けることが大切です。室内機の周辺に大きな家具等があると送風がさえぎられてしまい、室内の空気の循環を悪くする恐れがあるためです。暖房時は床や足元を温めるために温風を下方向に排出します。一方で、冷たい空気は下に溜まりやすいことから、冷房時は横方向に向かって冷たい風を送り出します。エアコンの送風の仕組みを理解しないまま不適切な位置に室内機を設置してしまうと、エアコンの運転効率は悪くなるでしょう。

例えば室内機の直下に物を置くと、配管が詰まる、経年劣化が進むなどのトラブルが起こりやすくなります。室内機は、障害物になりそうなものから離れた場所に設置しましょう。

部屋の短辺の壁面

長方形の部屋の場合、エアコンの室内機は部屋の短辺の壁面に取り付けるのがおすすめです。送風する方向が長辺か短辺かで室内の温度分布が大きく変わるためです。室内機を長辺の壁側に取り付けた場合、室内機から送られる風は部屋全体に広がる前に対面する長辺の壁面にぶつかり、滞留しやすくなります。

一方で、室内機を短辺の壁面に取り付ければ、対面する短辺の壁面に向かって風を送ることができ、より広範囲に送風して効率の良い運転ができます。運転効率が良くなれば、エアコン本体への負担を減らすことも可能です。ただし住宅の構造やコンセント・配管穴などの位置によっては、室内機を設置できる場所が制限される場合もあるため、対策としてサーキュレーターや扇風機の併用をおすすめします。

エアコン専用のコンセントに近い場所

エアコン専用のコンセントに配線コードが届くことも、室内機の設置場所の条件です。室内機の配線コードの長さはエアコンの機種によって異なりますが、一般的に50cm~1mが多い傾向にあります。

マンションの場合、コンセントの位置は既に決まっているため室内機の設置場所の自由度は低くなりますが、新築の戸建ての場合は、配線コードが届く位置であればコンセントの位置を自由に決められます。室内に専用のコンセントが設置されていない場合は、電気工事によるコンセントの移設が必要です。

室内機の配線コードが専用のコンセントに届かない場合、市販の延長コードを使用すれば良いと考える方もいるかもしれません。しかし、市販の延長コードは絶縁不良や電流の許容量がオーバーしやすく、感電や火災の原因になります。感電や火災を防止するためにも、延長コードの使用は避けましょう。

その他、室内機を設置する際のポイント

上述した以外の観点で、エアコンの室内機の取り付けに適している主な設置場所は以下の通りです。

  • 直射日光を避けられる場所
  • 扉がなく人が出入りしない場所
  • 熱や蒸気、油煙が発生しない場所
  • フィルターの取り外しがしやすい場所
  • テレビや蛍光灯などの電気機器から1~2m以上離れた場所

室内機は窓のそばに設置する必要があるものの、直射日光が当たるとエアコンの運転効率が下がるため、取り付け場所は慎重に選びましょう。人が出入りする扉のそばは送風の障害になる恐れがあります。キッチンや洗面所のように、熱や蒸気、油煙が発生しやすい場所も本体の故障の原因につながる可能性が高いため避けるべきです。

テレビや蛍光灯などの電気機器のそばに室内機を設置すると、エアコンのリモコンが正常に動作しない場合があります。また室内機が対応する畳数と設置場所の室内の広さが合っているかを確認することも大切です。

エアコン(室外機)の適切な設置場所

エアコンの室外機の設置場所はどこでも良いわけではありません。室外機を適切な場所に設置することでエアコン本来の能力を発揮しやすくなり、効率の良い運転を可能にします。本章では、室外機に適している設置場所を解説します。

室外機の周囲に十分なスペースを確保できる場所

エアコンの室外機は壁や障害物から離す距離が明確に定められています。前後左右に十分なスペースがないと設置作業やメンテナンスを行えない可能性があるためです。ただし、室外機を設置する際に確保すべきスペースは、メーカーごとに異なります。例えば、ダイキン工業のエアコン「うるさらX」を例に、壁から離すべき距離を把握しておきましょう。

室外機は吹出口を壁に向けるか向けないかで確保するスペースが異なります。外壁を背にする場合は、外壁から5cm以上のスペースが必要となり、吹出口を壁に向ける場合は10cm以上の距離を取りましょう。

ただし、上記は一方のみが壁の場合の設置条件です。二方が壁の場合、三方が壁の場合は条件が異なるため、設置前に必ずメーカーや設置業者に確認しましょう。

雨や直射日光が当たりにくく、風通しが良い場所

エアコンの室外機の設置場所は、雨や直射日光が当たらず、風通しが良い場所がおすすめです。室外機は風雨や一定の暑さにも耐えられる構造になっているものの、室外機の寿命を短くしないためには、雨や直射日光を避ける工夫が必要です。風通しが悪かったり直射日光が当たったりすると室外機の内部温度が高くなり、電力消費が大きくなるため本体に負担がかかります。

また市販の室外機専用のカバーで本体を覆ってしまうと、熱の排出が難しくなり、エアコンの効果が低下する恐れがあります。雨や直射日光を避けつつも風通しを良くするには、すだれや庇(ひさし)で日陰を作るのがおすすめです。

水平な場所

エアコンの室外機は水平な場所に設置することが大切です。室外機の設置場所は地面の上が一般的ですが、場合によってはベランダや屋根の上、壁、天井などに設置することがあります。その際、室外機を水平に設置できないと正常に動作しない恐れがあるため、設置場所がどこであっても室外機が水平になるよう設置しなければなりません。

一般的に、室外機の許容傾斜角度は3度までと定められています。平らな面を確保できない場合の代替案として、室外機を壁や天井に吊るす方法もあります。その場合は30~50kgの重量に耐えられるかどうかを確認しておきましょう。

室外機の騒音や振動が気にならない位置

エアコンの室外機は、ファンが回る際に音や振動が発生します。人によっては室外機の音や振動がストレスになる場合もあるため、室外機を設置しても騒音や振動が気にならない場所への設置をおすすめします。

また隣家との距離が近い場合は、室外機の音や振動が近所トラブルの原因になるケースも少なくありません。近隣とのトラブルを避けるなら、隣家の窓の近くに室外機を設置しないように注意しましょう。現在お使いの室外機の吹出口が隣家に向いている場合は、向きを変える、設置する高さを変えるなどの工夫をすると良いでしょう。

その他、室外機を設置する際のポイント

上述した観点以外で、エアコンの室外機の設置場所に適している場所は以下の通りです。

  • 季節風を避けられる場所
  • 室外機の吹出口の正面に強風が吹き込まない場所
  • プロパンガスから2m以上離れた場所

室外機を季節風が当たる北側や西側に設置すると、風の影響で室外機が凍結して正常に運転できなくなります。季節風の影響を受けない場所に室外機を置くなら、東側や南側を選びましょう。

また室外機の吹出口の正面に強風が当たるとモーターが逆回転を引き起こし、室外機が故障する原因になります。

プロパンガスのそばに電気設備を設置する場合は、火災を防止するために2m以上の距離を取ることが液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(※)に定められています。

参考:経済産業省.「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」. https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/lpgas/hourei/index.html,(参照2024-09-25).

エアコンを適切な場所に設置するならミヨシテックにお任せ!

エアコンの設置場所は、室内機や室外機の運転効率が良くなる場所を選ぶことが大切です。火災報知器やプロパンガスのそばに取り付ける場合は、定められた設置条件を守る必要があるため、エアコン設置のプロに依頼することをおすすめします。

株式会社ミヨシテックでは、エアコンの新設工事をはじめとする空調工事や住宅設備機器工事、ガス工事を請け負っています。エアコンのメンテナンスやアフターフォローも行っているため、エアコンの工事を検討されている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。