業務用エアコンの種類とは? 特徴やメリット・デメリット、選び方を解説!

エアコン

2024.09.13

Column

エアコンには家庭用と業務用があり、業務用エアコンには多様な種類があります。小さな店舗だからと家庭用エアコンを設置してしまうと、冷暖房のパワーが不足するなどの不具合が起こるため、使用する施設や規模、ニーズに応じて適した機種を選ぶことが大切です。

本記事では、業務用エアコンの設置を検討している方に向けて、業務用エアコンの種類ごとの特徴やメリット・デメリットをまとめて解説します。

業務用エアコンにはどのような種類がある?

業務用エアコンと一口に言っても多様な種類があるため、製品を選ぶ前にそれぞれの特徴を知っておくことをおすすめします。業務用エアコンは機種ごとにメリットやデメリットが異なり、ニーズに合わせて選ぶのがポイントです。

ここでは、埋め込みタイプの天井カセット形などの他、天井吊形や壁掛形、床置直吹形について解説します。

天井カセット形

天井カセット型は、室内機を天井に埋め込んで設置するタイプの業務用エアコンです。室内機が天井に埋め込まれているため、見た目がスッキリしています。業務用エアコンの中でも多くの店舗で採用されているのが特徴です。

ここでは、天井カセット形の中でも吹出形によって異なる業務用エアコンの種類について解説します。

天井カセット形4方向吹出は、業務用エアコンの中でも多く設置されているものです。その他には吹出形の少ない天井埋込カセット2方向吹出形や天井埋込カセット1方向吹出形、360°の吹出形がある天井カセット形ラウンドフローがあります。

天井カセット形4方向吹出

天井カセット形4方向吹出は、正方形で吹出口が4つの方向に付いています。室内機が天井に埋め込まれているので目立たない、吹出口の方向が4つあることから、天井カセット形の中でも設置数が多い業務用エアコンです。壁に設置したくない場合や、天井の照明・空間の雰囲気を損ないたくない場合に向いています。

4つの吹出口から温冷風が出るため、室内の温度が一定になりやすいこともメリットです。風量調整などの機能も充実していて、同じ方向にばかり風が当たることもありません。天井との一体感があり、空間のデザインも機能性も両立できます。

ただし、設置に当たっては天井の高さや天井裏の広さ、配管の状況などのチェックが必要です。天井の高さが一定以上になると温冷風が床まで届かなくなる点や、工事で天井に穴が空くことはデメリットになるでしょう。また、エアコン本体や工事の費用は、他の種類に比べると割高になります。

天井埋込カセット2方向吹出形

天井埋込カセット2方向吹出形は、2方向から温冷風を出す長方形タイプの業務用エアコンです。何台もエアコンを配置する必要がある場合や、4方向よりも2方向で風の通りが良い場合の設置に向いています。

デザインがスッキリしているため、照明や内装にこだわりのある店舗に採用されやすいことが特徴です。4方向吹出口と比べると手入れが簡単で、導入時の費用も安く抑えられます。ただし、温冷風は2方向から吹き出すため偏りやすく、4方向吹出口よりも室内に広がりにくい点はデメリットです。2方向吹出形を設置するときは、室内の環境や気流などに十分配慮しながら方向を決めるようにしましょう。

天井埋込カセット1方向吹出形

天井埋込カセット1方向吹出形は、長方形で吹出口が1方向の業務用エアコンです。室内機を部屋の隅や下り天井、高天井に設置する場合に向いています。取り付ける際には、部屋角に設置することで部屋全体に温冷風が届きやすくなります。

1方向吹出形のメリットは、スリムなデザインで天井と一体化することです。また、一般的には他の天井埋込カセットタイプと比べ、設置するための工事費用が安くなる傾向にあります。一方で、吹出口が1方向のみのため、4方向や2方向の吹出口よりも温冷風が届きにくいエリアが生じる点は、デメリットになるでしょう。

天井カセット形ラウンドフロー

天井カセット形ラウンドフローは、吹出口が全方向にあるタイプの業務用エアコンです。部屋の天井に設置されている照明との兼ね合いで、他のタイプを設置するのが難しい場合に向いています。インテリアの雰囲気を壊したくないなど、店舗の壁への設置を避けたい場合にもおすすめです。

天井カセット形ラウンドフローは全方向から温冷風が吹き出すため、4方向タイプよりも部屋全体に風が行き渡りやすいメリットがあります。また、多様なオプションが付いている機種もあるなど、選択肢が多い点もメリットです。一方で、設置する際の工事費用は天吊形や壁掛形よりも高くなる傾向にあります。

ビルトインカセット形

ビルトインカセット形は、エアコン本体を天井や壁の内部に埋め込み、ダクトを設置して温冷風を送る仕組みの業務用エアコンです。機器が見えないようにしたい場合や、好きな場所に設置したい場合に向いています。

本体から複数の吹出口を設けられるため、ニーズに合わせて温冷風の風向きなどを調整できます。室内が区切られている部屋や変形の空間など、どのようなケースにも設置可能です。ただし、他の業務用エアコンよりも設置費用が比較的高い点、メンテナンスが難しく業者による定期的なクリーニングが必要になる点などはデメリットになります。

天井埋込ダクト形

天井埋込ダクト形は、天井に埋め込まれたエアコン本体が室内から見えず、吸込口や吹出口だけが見える業務用エアコンです。複数の吸込口や吹出口にダクトをつなぐ仕組みで、ビルトインカセットタイプよりも柔軟に設置できます。

設置箇所を店舗のレイアウトに合わせられ、吸込口や吹出口は狭いスペースでも設置できるメリットがあります。また、吸込口と吹出口には複数のタイプがあるため部屋に合わせて選ぶことも可能です。一方で、他の業務用エアコンよりも設置費用が割高になり、メンテナンス費用がかかるというデメリットもあります。また、メンテナンス時には点検するために天井内のスペースの確保が必要です。

天井吊形(天吊露出形)

学校などに多く採用されている天井吊形(天吊露出形)は、天井からエアコン本体を吊り下げて設置するタイプの業務用エアコンです。機器本体を天井に埋め込めない場合や、ダクトを配管できない場合などに設置するのが向いています。

天井に埋め込む必要がないため、天井に穴を開けることなく設置が可能です。大型の店舗や天井が高い室内でも、パワフルに温冷風を送れるのもメリットでしょう。ただし、送風は1方向のみとなるため、場所によっては温冷風が届きにくいかもしれません。また、設置後の配管は露出するタイプのため室内から見えてしまう点もデメリットです。

壁掛形

壁掛形は家庭用エアコンのパワーを強力にしたもので、製品の馬力が増すごとに大型になる業務用エアコンです。家庭用エアコンと同様の工事で済みます。そのため他の業務用エアコンに比べると設置しやすいことが特徴です。

壁に取り付けるタイプで工事費用が安く済む他、メンテナンスが家庭用エアコンと同じように簡単にできるのも大きなメリットです。馬力がある分、十分な風量が得られます。ただし、天吊形と比較すると温冷風が届きにくい場所が生じることや、エアコン本体と配管が見えてしまう点はデメリットになります。

床置直吹形

床置直吹形は、エアコン本体を床に設置しルーバーから温冷風を送るタイプの業務用エアコンです。近年では、天井高が十分でない場合の店舗などに設置されることが多くなっています。

設置するための工事が比較的簡単で、費用も安いことがメリットです。手が届く場所にあるため、日常的な掃除が簡単にできます。一方で、近年では比較的コンパクトにはなっているものの、床に置くことで活用できるスペースはその分狭くなります。また、送風が1方向なので温度ムラができやすいこと、手入れのためにエアコン本体の周囲を空けておく必要があることもデメリットとなるでしょう。

業務用エアコンの選び方は?

業務用エアコンにはさまざまな種類があり、どれを選べば良いか迷ってしまいますが、選ぶときに意識したいポイントがあります。大きく分けると、タイプや種類で選ぶ方法、空調能力(馬力)で選ぶ方法、省エネ効率で選ぶ方法です。

ここでは、それぞれについて具体的な選び方のポイントを説明します。

タイプ・種類で選ぶ

ここまで解説したように、業務用エアコンにはタイプや種類ごとに異なる特徴があります。それぞれのメリット・デメリットなどをしっかり把握してから、設置する場所に適したものを選びましょう。

大別すると、室内機を見せたくない場合は天井埋込タイプ、できるだけ簡単に設置したい場合は露出タイプが良いでしょう。天井埋込タイプの中でも、カセット形よりもダクト形にすれば、エアコン本体やダクトがより目立たなくなります。

空調能力(馬力)で選ぶ

業務用エアコンの空調能力は、「馬力」で表され、設置する場所に合わせて必要な馬力を選ぶのがポイントです。業務用エアコンの必要な馬力を算出するには、空調面積の他に業務・業種によっても異なります。

例えば、商店よりも理美容院や飲食店は発熱する機器を扱うことから、多くの馬力を必要とするのが一般的です。また、パソコンを多く使う事務所なども必要な馬力を算出すると良いでしょう。馬力が足りないと、フルパワーで運転することになるため機器に負荷がかかるため注意が必要です。

省エネ効率で選ぶ

近年の業務用エアコンは、省エネタイプと超省エネタイプに分けられます。メーカーによって呼び方は異なりますが、これらの2つのタイプに分けられているのが一般的です。

省エネタイプは、10年前の製品と比較したときに省エネの能力がアップしている機種です。古いエアコンを新しい機種に交換することで電気料金が安くなるメリットがあります。エアコン本体の価格が超省エネより安いのも特徴です。

超省エネタイプは高効率の省エネ性能を持っているため、長期間使うことで標準の省エネタイプよりも電気料金を抑えられるでしょう。

業務用エアコンはプロに選んでもらうのがおすすめ

業務用エアコンを選ぶには、設置する現場の状況も加味しなければならないため、必要なパワーを算出するための専門的知識が欠かせません。室内の面積以外にも、設置環境や使用する目的などによって適した馬力や形の業務用エアコンは異なります。不適切なエアコンを設置すると、冷暖房の効率が低下する上に電気料金が高くなるリスクもあるでしょう。

そのため、専門業者に相談して適切な業務用エアコンを選んでもらうことが大切です。ニーズに合う機器を導入するには、施工実績が豊富で提案力のある専門業者に依頼して一緒に選ぶことをおすすめします。

知っておくと便利! 業務用エアコンのあれこれ

業務用エアコンを選ぶときに、前もって知っておくと役に立つポイントがいくつかあります。ここでは、室内機と室外機の組み合わせの種類であるペアとマルチ、エネルギー源のGHPとEHPの違いについて詳しく解説します。

また、業務用エアコンと家庭用エアコンの違いについても改めて説明しますので、基本を押さえておきましょう。

室外機のペアとマルチ

業務用エアコンの室外機と室内機の組み合わせは、大きく「ペア」「同時運転マルチ」「個別運転マルチ」の3つのパターンに分けられます。

ペアは室外機1台に室内機1台、リモコン1台がセットになる一般的な業務用エアコンのタイプです。小規模の店舗などに設置されることが多く、既にあるエアコンに追加するときにも向いています。室内機には必ず室外機が必要になるため、広い空調面積の場合は不向きです。

同時運転マルチは、室外機1台に対して2~4台の室内機を設置できます。空調面積が広く室外機を設置するスペースが狭い店舗などに向いています。リモコンは1台なので、場所ごとの温度調節はできません。

個別運転マルチも室外機1台に2~4台の室内機を設置できますが、リモコンが個別に付いているため、間仕切りのある店舗に向いています。

GHPとEHP

エアコンのエネルギー源には、GHP(ガスヒートポンプエアコン)とEHP(電気式ヒートポンプエアコン)があります。それぞれに特徴があるので、違いやメリット・デメリットを知っておきましょう。

GHPのエネルギー源は都市ガスやプロパンガスで、コンプレッサー駆動源はガスエンジンです。急速暖房ができるなど暖房能力が高く、霜取り運転が少ない、電力の基本料金が抑えられるなどのメリットがあります。ただし、導入費用が比較的高くメンテナンスの手間や費用がかかることや、排気ガスが出る点はデメリットです。

EHPのエネルギー源は電気で、コンプレッサー駆動源はモーターです。導入費用やメンテナンスの費用はGHPよりも少なく、ガスを使わないため電気料金のみで運転できます。ただし、電力会社の基本料金が高い点や暖房の際に霜取り運転が行われるデメリットもあります。

業務用エアコンと家庭用エアコンの違い

規模の小さい店舗や事務所だからと家庭用エアコンを設置してしまうと、エアコンが思うように効かないこともあります。そのため、家庭用エアコンと業務用エアコンはどのように違うのかを確認しておきましょう。

設定した室温にするための力である「能力」は、家庭用エアコンでは床面積(畳数)で決められています。業務用エアコンの場合は、床面積や天井高以外にも、建築構造や業種などの条件を細かく考慮した上で馬力を決定します。

馬力の違いは、家庭用エアコンが約0.5~10馬力までなのに対し、業務用エアコンは10馬力以上と大きく異なります。また、電力会社との契約では、家庭用エアコンは一般的な家庭と同じですが、業務用エアコンでは三相200Vを使用する際には、低圧電力または高圧電力の契約が必要です。

業務用エアコンなら、ミヨシテックにご相談ください!

業務用エアコンには多様な種類があるため、それぞれの特徴を把握してから設置場所に合うものを選ぶのがポイントです。家庭用エアコンとは異なり、業種や環境、利用状況などから必要な馬力を算出する必要があります。

ミヨシテックなら、業務用エアコンの選定から工事・設置まで一貫してお任せいただけます。歴史と実績を誇るミヨシテックは、対応力と技術力、施工のスピードで高く評価されている水道・ガス・電気の設備工事事業者です。現地調査やお見積もりは無料なので、お気軽にご相談ください。