2024.08.20
業務用エアコンで注目を集めているのが、EHPエアコンです。エアコンにはもう一つ、GHPという種類があるため、何が違うのか、どちらを設置したら良いのかで迷っている方もいるでしょう。
この記事では、EHPエアコンの特徴や、GHPエアコンとの違いを詳しく解説しています。それぞれの仕組みや、メリットやデメリットにも触れるので、エアコンの交換や新設をご検討の場合、自社に適したエアコンを考える参考にしてください。
EHPとは、動力源に電気を使用したエアコン駆動システムのことです。
空調にはEHP(Electric Heat Pump:電気モータヒートポンプ)とGHP(Gas engine driven Heat Pump:ガスヒートポンプ)があります。このうち電気で動くものがEHPです。
EHPは電気を使ってモーターを動かし、コンプレッサーを駆動させて冷媒を圧縮させています。圧縮した冷媒を使って熱交換器でヒートポンプサイクルを発生させ、熱を交換しながら冷暖房を行うのがEHPの仕組みです。
EHPもGHPも、ヒートポンプサイクルによって冷暖房を行うシステムのことをいいます。ヒートポンプサイクルとは、室内と室外とで熱を交換することによって冷暖房を実現するサイクルです。
冷房の場合は、冷媒を使って室内の熱を室外に運び、熱を放出して冷たい空気を室内へ流しています。暖房の場合は反対に、室内の冷たい空気を冷媒によって室外へ運び、圧縮機で冷媒を温めることで、室内に温かい空気を流す仕組みです。
このヒートポンプサイクルという仕組みを動かしていること自体は、EHPでもGHPでも変わりません。
GHPとはガスエンジンを使ってコンプレッサーを動かし、ヒートポンプサイクルを作り出すシステムです。
つまり、EHPエアコンとGHPエアコンとの大きな違いは、ヒートポンプサイクルを起こすエネルギー源にあります。EHPエアコンが電気をエネルギー源とし、コンプレッサー駆動源が電気モーターであるのに対して、GHPエアコンのエネルギー源はガスで、コンプレッサー駆動源はガスエンジンです。
なおメンテナンスの内容にも違いがあります。GHPは一時的な点検ではなく、定期点検、運転時間ごとの点検など、いくつかの制約があります。EHPも定期点検がありますが、内容はケースバイケースで自由度が高いのが特徴です。
EHPエアコンは、GHPエアコンと比較してメリット・デメリットがあります。
メリットは先述の通り、メンテナンスの手間や費用が少ないことに加えて、初期導入コストが比較的低い、排気ガスが出ないことなどです。これに対して、デメリットは、契約電力の基本料金が高いことや、暖房時に霜取り運転が発生することなどが挙げられます。
それぞれについて詳しく解説します。
EHPエアコンのメリットとして、導入コスト、メンテナンス、省エネ効果の3つが挙げられます。
まずEHPエアコンは、GHPエアコンに比べて導入コストが安価です。GHPエアコンの導入にはガス配管工事が必要ですが、電気だけで動くEHPエアコンではガス工事が必要ありません。そのためGHPエアコンに比べて安価なだけでなく着工がスムーズで、施工時間も短くスピーディーなことが特徴です。
次にメンテナンスの費用と手間の少なさもメリットに挙げられます。GHPエアコンは先述の通り、定期メンテナンスで多くの項目を点検するため、費用も高額になりがちです。しかし、EHPエアコンの場合は臨機応変なメンテナンスで費用を抑えやすいでしょう。
またEHPエアコンは電気のみで稼働できるため、省エネ効果が高い傾向です。ガス代がかからない分、稼働分の電気代は必要ですが、太陽光発電などと組み合わせれば、さらに大きな節約効果が期待できます。
EHPエアコンには、電気料金がかかる、霜取り運転が発生するといったデメリットがあります。
基本電気料金は、近年高騰する傾向にあるため、節電の観点から気になる方は多いでしょう。GHPエアコンの運転にかかるガス代と比べて高額なのではないかと考えるところですが、燃料費に加えてメンテナンス費用も併せて考慮する必要があります。また先述の通り、太陽光発電で電気代がまかなえる場合は、電気での運転はかえってメリットです。
霜取り運転は、熱交換器に付着した霜を取るメンテナンス運転で、EHPエアコンで暖房を稼働するときに不可欠です。霜取り運転時は暖房運転が止まってしまうため、室温も低下してしまうのが難点ですが、室外機の前に物を置かないことで霜取り運転の頻度を落とすことができます。
GHPエアコンには、EHPエアコンにはないメリットとデメリットがあります。GHPエアコンのメリット、デメリットをそれぞれ解説します。
GHPエアコンには、温度や電力、霜取り運転の点でメリットがあります。
まずGHPエアコンは、適温になるのが早いのが特徴です。暖房では、ガスエンジンの駆動によって出る熱を暖房熱として再利用できるため特に熱効率が高く、暖房機能の強さはEHPエアコンを大きくリードします。
電力という面では、ガスエンジンで駆動しているGHPエアコンはEHPエアコンに比べて省電力です。また停電に強いのもメリットでしょう。ガス駆動のためCO2排出量が少ない他、酸性雨の原因となるSOX(硫黄酸化物)がほとんど出ないという点で環境にも優しいといえます。
またGHPエアコンは、霜取り運転をしながら暖房運転を継続できます。EHPエアコンでは霜取り運転時に暖房運転がストップしてしまいますが、GHPエアコンは運転が止まらないため、快適性を維持できるのがメリットです。
GHPエアコンのデメリットには、初期導入コスト、メンテナンスの難易度、設置場所の制限、稼働時の振動音、そしてガス料金の安定性が挙げられます。
GHPエアコンを導入する際はガス配管工事が必要になるため、初期導入コストはEHPエアコンに比べて高額です。国の補助制度がいくつかあるため、導入に際しては活用すると良いでしょう。
メンテナンスに手間と費用がかかるのも、GHPエアコンのデメリットです。GHPエアコンの大規模メンテナンスは、5年に一度、もしくは駆動時間1万時間に一度といわれています。この他、定期メンテナンスとして年に一度、故障に備えて24時間監視といった契約が行われることもあり、EHPエアコンに比べるとコストがかかりがちです。
またGHPエアコンは安全性や排気ガス・稼働時に発生する振動音の関係から、設置場所に多くの制限があります。軽量化された機種を選ぶと、任意の場所に設置しやすいでしょう。
GHPエアコンはガスで動くため、ガス料金の変動でコストが変わります。社会情勢による値上がりも視野に入れ、設置することをおすすめします。
EHPエアコン、GHPエアコンはどちらもメリット・デメリットのあるエアコンシステムです。どちらが良いとは一概にはいえませんが、GHPエアコンからEHPエアコンへ変更することもできるため、迷ったときは業者に相談してみるのもおすすめです。
ミヨシテックでは、EHPエアコン・GHPエアコンの設置・メンテナンス、更新工事をまるごとお任せいただけます。どちらのエアコンにも対応している他、実績も豊富なので、新規の設置はもちろん故障時の対応もご相談可能です。エアコンの設置や故障、メンテナンスは、お気軽にミヨシテックへお問い合わせください。