2024年(令和6年)度、業務用エアコンの設置で利用できる補助金制度をご紹介!

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2024.05.07

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環境に配慮したエアコンや空調設備を使うと、日々の節電になりコスト削減につながります。また業務用エアコンや空調設備の設置に助成金を利用できれば、費用負担を軽減できます。省エネや脱炭素化に取り組む企業を支援する制度も増えつつあるため、対象となる制度は積極的に活用しましょう。

本記事では、業務用エアコンの設置に利用できる補助金について、それぞれの概要と活用するための要件を詳しく解説します。自治体独自の補助金制度も紹介するため、コストを抑えて業務用エアコンを設置したい方は、ぜひ参考にしてください。

業務用エアコン・空調設備に利用できる補助金とは

補助金とは、企業や個人事業主による特定の取り組みにかかる費用の一部または全額を、政府が補助する制度のことです。業務用エアコン・空調設備に利用できる補助金なら、エアコンや空調設備を導入した企業または個人事業主が対象となり、補助制度の要件を満たした場合に補助金が支払われます。

2024年度(令和6年度)に活用できる中小企業や個人事業主の設備投資を支援する補助金制度には、さまざまな種類があります。しかし、エアコンや空調設備が対象となる制度はごくわずかです。対象となっている場合も、要件が細かく設定されているため、必ずしも利用できるとは限りません。補助金を申請する前には、対象や要件をしっかりと確認しておきましょう。

省エネ補助金とは?

省エネ補助金は、国内の法人または個人事業主の省エネルギー対策を政府が支援する制度です。省エネ設備・機器の更新など、企業が省エネのために必要な措置を講じる場合、費用の一部または全額が支給されます。

資源エネルギー庁は、2030年度における省エネ量2,155万klの達成を成果目標に掲げており、省エネ効率の高い設備への更新を支援しています。

省エネ補助金は、下記の2種類です。

  • 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
  • 省エネルギー投資促進支援事業費補助金

空調など設備単位の更新で省エネを図る場合は、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金に該当します。

また省エネルギー投資促進支援事業費補助金は5項目に分類され、業務用エアコンの設置は「設備単位型・C指定設備」の項目に該当します。業務用エアコン・空調設備の変更を検討している場合は、省エネ補助金をチェックしてみましょう。

※参考:資源エネルギー庁.「令和5年度補正予算の概要(省エネルギー課関係)」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/data/r5gaiyou_an.pdf , (参照 2024-04-19).

※参考:資源エネルギー庁.「省エネ関連情報各種支援制度」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/ , (参照 2024-04-19).

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネ設備への更新支援(省エネ補助金)」. https://syouenehojyokin.sii.or.jp/?utm_source=other&utm_medium=cpc&utm_campaign=banner&utm_id=cp038,(参照 2024-04-19).

省エネ補助金の要件

業務用エアコン・空調設備の更新に適用される省エネ補助金の要件は、下記のとおりです。

 

<省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金>

補助金限度額 1億円
補助率 1/2以内(中小企業の場合)

補助対象となる経費は、CO2排出量削減余地の診断やCO2削減計画の策定に掛かる人件費・業務費・一般管理費などです。

 

<省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位型・C指定設備)>

補助金限度額 1億円
補助率 1/3以内

補助対象となる経費は、設備費のみです。

省エネ補助金を活用する条件として、導入する設備は高効率空調でなければなりません。2024年度の一次公募期間は、いずれも2024年3月27日〜4月22日まででした。2次公募は2024年5月下旬~6月下旬を予定しています。

省エネ補助金の交付申請は、下記の手順で行います。

  1. 公募要領の確認
  2. 更新する設備の選定
  3. 見積もりを取得
  4. 申請手順を決定
  5. 必要書類の準備
  6. 補助事業ポータルのアカウントを登録
  7. 補助事業ポータルへ必要情報を入力
  8. 書類を印刷して郵送

補助金の交付には、補助事業ポータルのアカウント登録が必須です。入力した情報は、環境共創イニシアチブ(SII)のデータベースに保存されます。

※参考:SII一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」. https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/ ,(参照 2024-04-19).

※参考:経済産業省.「令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/government/data/package_r5_231110.pdf ,(参照 2024-04-19).

※参考:SII一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ」. https://sii.or.jp/setsubi05r/uploads/r5h_st_06_koufutebiki_shinsei_st.pdf ,(参照 2024-04-19).

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業 (SHIFT事業)

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業とは、工場や事業場の脱炭素化のロールモデルとなる取り組みを支援する事業のことです。SHIFT事業とも呼ばれ、削減目標設定と削減計画策定、設備更新・電化・燃料転換・運用改善を組み合わせた取り組みを実施する事業者の支援を行います。

2021年(令和3年)度から2025年(令和7年)度までを実施期間とし、2030年度温室効果ガス削減目標の達成や2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。

SHIFT事業の支援策は、下記の2つです。

  • CO2削減計画策定支援
  • 省CO2型設備更新支援

CO2削減計画策定支援は、CO2排出量削減余地の診断やCO2削減計画の策定に対して交付される補助金です。省CO2型設備更新支援は、CO2削減計画に基づいて設備更新を行った場合に補助金が交付されます。

これまで支援事業に参加した事業者の中には、空調システムに関する効果的な対策を行う事例が多くみられます。

※参考:SHIFT 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業.「SHIFT事業とは」. https://shift.env.go.jp/outline ,(参照 2024-04-19).

SHIFT事業の要件

SHIFT事業の要件は、下記のとおりです。

 

<CO2削減計画策定支援>

補助金限度額 支援内容により50~100万円
補助率 3/4(上限額と比較して低い額を支給)

CO2削減計画策定支援の補助対象となる経費は、CO2排出量削減余地の診断やCO2削減計画の策定に掛かる人件費・業務費・一般管理費などです。

 

<省CO2型設備更新支援>

補助金限度額 事業規模により0.5〜5億円
補助率 1/3(中小企業はCO2削減量比例型補助)

省CO2型設備更新支援では、設備機器の導入・更新に掛かる工事費や設備費、測量・試験費などが補助対象となります。

CO2削減計画策定支援・省CO2型設備更新支援は、いずれも交付前に発生した経費や申請手続きに掛かる経費は、補助金の対象外です。

 

SHIFT事業の活用を検討している方は、下記の公募期間中に申請を行いましょう。

CO2削減計画策定支援 2024年(令和6年)3月25日~5月31日
省CO2型設備更新支援 2024年(令和6年)3月25日~4月30日(第一次公募)
2024年(令和6年)3月25日~5月31日(第二次公募)

いずれも交付申請は12時必着です。

 

※参考:SHIFT 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業.「令和5年度SHIFT事業」. https://shift.env.go.jp/files/shift/outline/2023leaflet.pdf ,(参照 2024-04-19).

※参考:環境省 SHIFT事業ウェブサイト公募情報.「令和 5 年度補正予算二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業))公募の予告」. https://shift.env.go.jp/files/offering/2023/sf05Hm4.pdf ,(参照 2024-04-19).

建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業

建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業は、高効率設備の導入などによりZEB化や省CO2化の普及加速へ取り組んだ事業者を支援する事業です。

2024年(令和6年)度〜2028年(令和10年)度を実施期間と定め、2050年のカーボンニュートラル実現への貢献を目的としています。

ZEBとは、エネルギー消費量を限りなくゼロにするという考えのもと、快適な室内環境を実現した建物です。「Net Zero Energy Building」の略で、ゼブと呼ばれています。建物が消費するエネルギーを省エネで減らし、創エネによるエネルギーで消費量をまかなうことができれば、エネルギーの収支ゼロを目指せます。

空調設備が関与する、建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業の支援策は下記の4つです。

  • ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
  • LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業
  • 国立公園利用施設の脱炭素化推進事業
  • 水インフラにおける脱炭素化推進事業

建築物のZEB化にあたっては、空調設備だけでなく建物全体の改修・修繕が必要になるケースがありますが、太陽光発電装置やLED照明器具の導入など、既存の汎用技術で対応できる場合もあります。

 

※参考:環境省.「令和5年度「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について」. https://www.env.go.jp/press/press_03005.html ,(参照 2024-04-19).

※参考:環境省ZEB PORTAL.「1.ZEBとは?」. https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/index.html ,(参照 2024-04-19).

ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業の要件

ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業の要件は、下記のとおりです。

 

<ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業>

補助金限度額 3~5億円
補助率 2/3(既存建築物の場合)

既存建築物の場合、ZEBの基準を満たし計量区分ごとにエネルギーの計量・計測を行っており、データの分析や評価ができるエネルギー管理体制を整備していること、またZEBリーディング・オーナーへ登録し、ZEBプランナーが関与する事業であれば補助金交付の対象となります。新築建築物については再エネ設備を導入することが必須です。

 

<LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業>

補助金限度額 5億円
補助率 3/5~1/3

ZEB Ready基準以上の省エネルギー性能を満たし、LCCO2の算出および削減、再エネ導入の要件も満たす場合は、補助金交付の対象です。「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」と同様に、ZEBリーディング・オーナーへの登録、ZEBプランナーが関与する事業であることも要件に含まれます。補助率は、3つのZEBランクごとに異なります。

 

<国立公園利用施設の脱炭素化推進事業>

補助金限度額 7,500万円
補助率 1/2(太陽光のみ1/3)

対象者は、ゼロカーボンパークに登録された地方公共団体に存する国立公園利用施設の事業で、宿泊施設などが挙げられます。補助要件は、洋式トイレ設置や国際認証の取得といったインバウンド対応すること、Webサイトなどを通じて脱炭素化に関する取組を広く周知すること、施設が属する地方公共団体が地球温暖化対策推進法に基づいて地方公共団体実行計画の区域施策編を策定していることなどです。

 

<水インフラにおける脱炭素化推進事業>

補助金限度額 なし
補助率 1/2または1/3

水インフラにおける脱炭素化推進事業は、さらに以下の3つに事業に分かれています。

  • 水インフラのCO2削減設備導入支援事業
  • 水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業
  • 水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業

業務用エアコンの設置に関連するのは水インフラのCO2削減設備導入支援事業、水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業のどちらかと考えられます。上記の表は水インフラのCO2削減設備導入支援事業です。

建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業の公募期間は、2024年(令和6年)3月25日~5月10日、17時必着です。

 

※参考:環境省.「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」. https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf ,(参照 2024-04-19).

※参考:環境省.「令和5年度「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について」.https://www.env.go.jp/press/press_03005.html ,(参照 2024-04-19).

【東京都】ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業は、2050年CO2排出実質ゼロの実現を目指し、東京都が実施する支援制度です。東京都環境公社の基金を原資として、省エネ設備導入と運用改善を実施した事業者に助成金を交付します。

都内温室効果ガス排出量の約90%を占める二酸化炭素は、業務・産業部門が全体の半分近くを占めていて、このうちの約4割が大規模事業所、残り約6割が中小規模事業所から排出されています。東京都ではCO2排出削減を進めるために、中小規模事業所の更なる省エネルギー化を推進するための事業です。

 

※参考:公益財団法人東京都環境公社.「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 募集要項」. https://www.tokyo-co2down.jp/wp-content/uploads/2024/01/zeroemi-shoene_bosyuyoko_240122.pdf ,(参照 2024-04-19).

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の要件

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の要件は、下記のとおりです。

 

<事前に省エネ診断を受診した場合>

補助金限度額 2,500万円(特定要件を満たす設備を導入した場合は5,000万円)
補助率 2/3(特定要件を満たす設備を導入した場合は3/4)

 

<省エネ診断を受診せずに自身で計画した場合>

補助金限度額 1,000万円
補助率 2/3

高効率空調設備は、ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の対象となる省エネ設備です。都内で空調設備の変更を検討している方は、支援事業の活用により経費を大幅に削減できる可能性があります。

 

2024年(令和6年)度の公募期間は以下のとおりです。予算上限は第1回〜4回までが10億円、第5回のみ13億円となり、いずれも17時必着です。

第1回 2024年(令和6年)4月24日〜5月10日まで
第2回 2024年(令和6年)6月17日〜6月28日まで
第3回 2024年(令和6年)8月19日〜8月30日まで
第4回 2024年(令和6年)11月1日〜11月15日まで
第5回 2025年(令和7年)1月20日〜1月31日まで

※参考:公益財団法人東京都環境公社.「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 募集要項」. https://www.tokyo-co2down.jp/wp-content/uploads/2024/01/zeroemi-shoene_bosyuyoko_240122.pdf ,(参照 2024-04-19).

※参考:公益財団法人東京都環境公社.「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」. https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/zeroemi-shoene ,(参照 2024-4-09).

自治体による補助金がある可能性も

政府や東京都が実施する支援以外にも、自治体独自の補助金制度が用意されている可能性があります。

2023年(令和5年)度に自治体が行ったエアコンや空調設備の導入に活用できる支援事例は、下記のとおりです。

 

<東京都:かつしかエコ助成金>

補助金限度額 100万円
補助率 1/4(中小企業の場合)

 

<埼玉県:CO2排出削減設備導入補助金>

補助金限度額 500万円
補助率 1/2(中小企業の場合)

 

<神奈川県:中小規模事業者省エネルギー設備導入支援補助>

補助金限度額 500万円
補助率 1/3(中小企業の場合)

自治体によってさまざまな制度が用意されているため、自社で活用できる支援や補助金制度がないかどうか、最新情報を調べてみましょう。

 

※参考:葛飾区公式サイト.「令和6年度 《事業所用》かつしかエコ助成金のご案内」. https://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000062/1023018/1023059.html ,(参照 2024-04-19).

※参考:埼玉県.「令和5年度 CO2排出削減設備導入補助金【緊急対策枠】(令和5年7月募集開始分)」. https://www.pref.saitama.lg.jp/a0502/hojokin/r5co2hojo-kinkyutaisaku.html ,(参照 2024-04-19).

※参考:神奈川県ホームページ.「中小規模事業者省エネルギー設備導入支援補助金」. https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/cnt/f7226/shouenesetubihojokin.html ,(参照 2024-04-19).

業務用エアコンの設置・メンテナンスはミヨシテックにおまかせ

中小企業や個人事業主が業務用エアコンや空調を設置する場合、要件に該当すれば国や自治体の補助金制度を利用できます。エアコンや空調設備が対象となる制度には、「省エネ補助金」「SHIFT事業」「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」などがあります。

補助金制度は、種類によって補助金額や補助率、公募期間が異なるため、事前に情報を確認した上で準備を進めましょう。

業務用エアコンは、エアコンメーカーか工事業者に依頼して設置します。業者によって費用や施工技術に差があるため、信頼できる業者を選定するのがポイントです。

株式会社ミヨシテックでは、業務用エアコンの設置からメンテナンスまでトータルで対応しています。ダイキン工業の特約店であり、実績と経験も豊富です。規模を問わず建物に応じた適切なプランをご提供できるため、ぜひお気軽にご相談ください。