2023.12.04
電気料金の値上がりが話題となっている今、エアコン使用時に節電できるかどうかは家計に大きな影響を及ぼします。また、電力需要のひっ迫も問題となっているため、安定して電力を供給し続けるには、多くの人の協力が必要です。快適な生活に欠かせないエアコンは、どのようなポイントに意識すれば効果的な節電ができるのでしょうか。
本記事では、エアコン節電の方法について詳しく解説します。冷房・暖房使用時の節電方法やエアコンの効きをよくするためにできる工夫、間違った節電方法、エアコンの買い替えを検討するタイミングなどについても紹介します。
エアコンの節電を行うために、適切なポイントを知っておきましょう。運転モード別の具体的な節電方法は後ほど詳しく解説しますが、まずは共通するエアコンの節電の基本から紹介します。
エアコンを節電するには、消費電力を抑えることが大切です。
エアコンの消費電力は、出力が上がるにしたがって多くなります。一般的にエアコンは1度変えると10〜13%の節電につながるといわれています。(※)
寒いから、暑いからと極端に設定温度を上げたり下げたりすると、それだけ電力を消費してしまうため、無理のない範囲で外気との差を考慮した設定温度にすることが大切です。
※参考:環境省. 「家庭でできる節電アクション」. https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/home/saving03.html , (2023-10-12).
※参考:環境省. 「家庭でできる節電アクション」. https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/home/saving03.html , (2023-10-12).
エアコンの効きを良くするためには、室内環境の工夫が必要です。窓の断熱性能を高めたり、カーテンを活用したりして空調効率をよくしましょう。
また、エアコンの効きを良くするためには、エアコン自体の定期的な掃除も必要です。
エアコンの運転効率を高めることも節電につながります。サーキュレーターや扇風機、空気清浄機などを併用して運転効率を高めれば、出力を抑えた状態で部屋を快適な温度にできます。
シーリングファンを使用するのもおすすめです。
節電するために工夫してもなかなか効果が得られない場合は、性能の良いエアコンに買い替えることも検討してみましょう。エアコンは壊れない限り何年も使用している人が多いかもしれません。
しかし、長年使っていると経年劣化で運転効率が落ち、消費電力が増えてしまいます。近年発売されているエアコンは、省エネ性能を高める機能搭載のものあり、節電効果が優れているものが多く登場しています。
ある程度の年数が経過したエアコンを使用しているのなら、買い替えも検討してみましょう。
エアコンは運転モードによって節電のポイントが変わってきます。まずは冷房使用時にエアコンを節電するためのポイントから見ていきましょう。
真夏は長時間外出していると室内の温度がかなり高くなってしまいます。室内気温が外気よりも高い場合は、エアコンをつける前に換気を行いましょう。室内にこもった熱気を換気で逃した後にエアコンをつければ、出力を抑えながら部屋を快適な温度にできます。
換気を行う際は、窓を1カ所開けるのではなく、できれば2カ所以上開けましょう。2カ所以上窓を開けると空気の通り道を確保できるため、短い時間で熱気を外に出せます。部屋の構造にもよりますが、対角線上に空気の通り道を作ると、より換気の効率が上がります。
夏場にエアコンの運転効率を高めるには、サーキュレーターや扇風機の使用がおすすめです。扇風機やサーキュレーターで冷たい空気を循環させれば、エアコンから遠い場所にも冷たい空気を素早く届けられます。
扇風機やサーキュレーターを使用する際は、エアコンに背を向けるように設置し、風を送りたい方向に冷たい空気を押し出しましょう。エアコンの出力に頼らず、より遠くまで冷たい風を送れます。
夏場はエアコンの風向きを水平に設定しましょう。冷たい空気は下に移動するという性質があるため、風向きを下にしているとエアコンから遠い場所の天井付近の空気が冷えません。
エアコンは室内温度を感知して動くため、床付近は冷えて設定温度になっているのに天井付近が冷えていないと、設定温度になっていないと判断して室内をさらに冷やそうとしてしまいます。
風向きを水平にすれば、室内の温度のムラがなくなるため、エアコンの勘違いによる電力消費を防げます。前述したサーキュレーターや扇風機を使って、空気を循環させるのも温度のムラを防ぐのにおすすめの方法です。
体感温度を下げる工夫をすることも、冷房使用時の節電には欠かせません。同じ室温の部屋にいたとしても、風が当たると当たらないとでは体感温度が異なります。
扇風機やサーキュレーターを使用して、風が自分に当たるようにすれば、室温を下げなくても涼しく感じるでしょう。
ただし、直接風に当たり続けると、体が冷えてしまいます。扇風機やサーキュレーターを遠くに置いたり、天井や壁から跳ね返った風に当たったりするように心掛けてください。
暑いと感じたときは、温度を下げる前に風量設定を変えましょう。エアコンをつけても暑いと感じるとき、温度設定を変更してしまう人も多いはずです。
しかし前述したとおり、夏であれば温度を1度下げると、消費電力は約13%増えてしまいます。(※)
風量を上げた場合も若干消費電力は増えますが、温度を1度下げるよりは消費電力を抑えられるといわれています。また、エアコンの風向きを自分に向けるようにすると、体感温度が下がるので、同じ温度でも暑さを感じにくいです。
室外機に直射日光が当たらないようにしましょう。室外機は室内の熱を外に出すために働き、その際に多くの電力を消費します。室外機に直射日光が当たっていると、室外機自体が熱を持ってしまうため、効率的に室内の熱を外に出せず、余計な電力を消費してしまいます。
場所によっては難しいかもしれませんが、できれば日陰に設置するのがおすすめです。日陰への設置が難しい場合は、日除けを行って室外機に直射日光が当たらないようにしてください。
次に暖房使用時にエアコンを節電できるポイントを紹介します。冬場もエアコンの使用方法を工夫し、少ない消費電力で室内を快適に暖めましょう。
冬場はエアコンの風向きを下向きに設定しましょう。冷たい空気は下に移動しますが、暖かい空気は上に移動する性質があります。そのため、水平に風向きを設定して暖房運転をするといつまで経っても足元の空気が暖まりません。
風向きを下向きに設定すれば、エアコンから出た空気は足元の空気を暖めつつ、自然と天井付近にたまっていきます。その結果、効率的に部屋全体が暖まり、節電につながります。
サーキュレーターや空気清浄機を使って、室内の空気を循環させましょう。下向きに風向きを設定していても、暖かい空気はどんどん天井付近に移動してしまいます。その結果、床に近いところには冷気だまりができてしまいます。
冷気だまりを解消するために活躍するのが、サーキュレーターや空気清浄機です。空気を循環させれば、暖かい空気が下に降りていきやすくなるので、部屋の中の温度ムラを防げます。
エアコンをつけても適温にならない、寒いと感じる場合は、部屋の湿度を上げるようにしましょう。快適な環境と感じられる条件は、温度だけでなく湿度も影響しています。
部屋の湿度を上げると、体の汗が蒸発しにくく体温の低下を避けられるため、温度を上げたときと同じように暖かいと感じられるのです。
また、冬は気温が低く乾燥しているため、ウイルスが増殖しやすいです。湿度を上げることでウイルスが活動しにくくなるため、風邪やインフルエンザ予防にもつながります。
加湿器や空気清浄機の加湿機能を使用して、室内の湿度を上げてみましょう。加湿のために電力を使いたくないという人は、室内に洗濯物を干したり濡らしたタオルをかけたりする方法もおすすめです。
ただし部屋の湿度を上げすぎると、カビの増殖や結露などにより、建物を傷める原因となってしまいます。室内を快適な環境にするためにも、湿度は40〜60%を維持するようにしましょう。
エアコン以外の暖房器具と併用することも、節電につながります。エアコン以外に電気ストーブや石油・ガスファンヒーター、床暖房、電気カーペットなどさまざまな暖房器具があります。
エアコンは広範囲の空間を暖めるのに適している暖房器具ですが、狭い空間や人がいる周辺だけを暖めることはできません。床付近の空気を暖めるのも苦手です。
電気ストーブや石油・ガスファンヒーターは部分的に暖めるのを得意としていますし、床暖房や電気カーペットは床付近を暖かくするのに適しています。使用する場所や目的を考えて暖房器具を併用すると、電力を消費しながら快適な室内環境を保てるでしょう。
エアコンで消費する電力を効率的に節電するには、エアコンを使用する環境にも気を付けなければなりません。ここで紹介する2つの方法を参考に、室内環境を見直してみましょう。
窓の断熱性能を高めることで、夏場でも冬場でもエアコンの効きが良くなります。窓は室内でも特に空気の出入りが多い場所です。
夏は窓を通して約75%もの熱が入り込み、冬は50%もの熱が逃げ出すといわれています。(※)窓の断熱性が低ければ、冷房や暖房をフル稼働させても、エアコンの効きが悪いように感じてしまいます。
窓の断熱性を高めるには、窓やサッシを断熱性能が高いものに取り替えるのが効果的です。コストを抑えて断熱性を高めたい場合は、窓に断熱シートを貼る方法もよいでしょう。他にも断熱シートの代わりにプラスチックダンボールや梱包用の気泡緩衝材でも代用可能です。
※参考:YKK AP株式会社.「冷暖房の効きをよくしたい」.https://www.ykkap.co.jp/consumer/reform/problem/987 ,(2023-10-27)
季節によってカーテンを取り替えることで、エアコンの効きは変わってきます。遮光カーテンは夏場の直射日光を防ぎ、室内の気温上昇を防げます。涼しげな印象をプラスしたいなら、断熱効果のあるレースカーテンがおすすめです。
冬場は断熱カーテンや厚手のカーテンを使用することで冷気を遮断でき、熱が外に逃げてしまうのを防げます。窓ガラスだけを覆うのではなく、天井から床までしっかり覆うと空気がさらに逃げにくくなります。
エアコンで節電を行うには、掃除も重要です。ここでは、エアコンと室外機の掃除方法を紹介します。
エアコンのフィルターがホコリで目詰まりしていると、冷房でも暖房でもエアコンが効きづらくなってしまいます。節電するためには、2週間に1度を目安にフィルター掃除をするようにしましょう。
フィルターに詰まったホコリは、掃除機で吸い取るのがおすすめです。汚れがひどい場合は、ある程度掃除機で吸った後に水洗いをし、陰干しでしっかり乾燥させましょう。
エアコンの節電には、室外機の掃除も欠かせません。室外機の背面もしくは側面についているアルミフィンの汚れを、ブラシなどを使って掃除しましょう。室外機の掃除は、エアコンを使い始める前に行います。
また、室外機周辺にはスペースを作り、物を置かないようにしましょう。室外機のすぐ近くに物を置くと、冷暖房効率が下がってしまいます。夏場は直射日光に当たらないようにするとお話ししましたが、完全にカバーで覆うのは避けてください。
節電のつもりが逆に消費電力が増えてしまっている可能性もあります。これから紹介する2つの節電方法は行わないようにしましょう。
節約のために常に弱運転をしていると、設定温度になるまでにエアコンは常に出力が高い状態になっています。強よりも設定温度に達するまで時間がかかるので、節電には逆効果です。
無駄な電力消費を行わないためには、自動運転に設定しましょう。自動運転なら室温に合わせて出力を調節するので、無駄な電力を使わずに済みます。
買い物に行くから消していこう、適温になったからと消そうなど、こまめにオンオフをしていると消費電力が増えてしまいます。エアコンが多くの電力を使うのは、電源を入れるときと設定温度になるまでの間です。
エアコンが効きすぎて適温でないと感じる場合は、エアコンを消すのではなく、設定温度を変えるようにしてください。
エアコンを長く使っているのなら、買い替えた方が節電につながる可能性があります。決して安い買い物ではないため、古くなってきて効きが悪くても修理して使った方がよいと悩んでいる人もいるでしょう。
エアコンを購入して10年以上経過しており、故障したり調子が悪かったりする場合は、買い替えを検討することをおすすめします。これは、エアコンの修理に必要な性能部品の最低保有期間が、多くのメーカーでおよそ10年と定められているためです。
一部メーカーでは例外もありますが、購入から10年以上経っていると、修理に出しても対応してもらえない可能性があります。
省エネ性能の高いエアコンへの買い替えを検討すれば、同じようにエアコンを使っても、今より節電できる可能性は高いです。
冷房・暖房使用時の節電方法や間違った節電方法、エアコンの買い替えを検討するタイミングなどを紹介しました。エアコンは冷房で使用するか、暖房で使用するかによって節電のポイントが異なります。
効率的に部屋の温度を快適にするためには、運転モードに合わせて使うことと使用する環境への工夫を行うことが重要です。夏場でも冬場でも、無駄なくエアコンを使用しましょう。
長年使っているエアコンの調子が良くない場合は、修理よりも省エネ性能の高いエアコンに買い替えるのもおすすめです。ダイキンプロショップのミヨシテックでは、ダイキンをはじめとして、各メーカーのエアコン取り替え工事を行っています。
個人向け・法人向けのどちらにも対応可能ですので、関西エリアでエアコンの買い替えを検討している方は、ミヨシテックまでお気軽にご相談ください。