2023.10.24
GHP(ガスヒートポンプ)とはガスエンジン・ヒートポンプ・エアコンのことで、ガスエンジンの力で室外機の圧縮機を動かし、ヒートポンプ運動で冷暖房を効かせる空調システムです。GHPは暖房の効きが早く、電力消費量が抑えられるというメリットがあります。
そんなGHPはどれくらいの頻度で更新が必要なのでしょうか。
本記事ではGHPの更新頻度や長期間使用することの問題点などを解説します。
GHPの標準的な使用期間は、13年もしくは3万時間でどちらか早い方とされています。そのため、保守契約の期間も13年契約で毎年更新できるのが一般的です。しかしメーカーによって契約期間が異なり、5年ごとの契約更新を設けているケースもあります。
GHPを13年もしくは3万時間以上使用していると、さまざまな問題が発生する可能性があるため、故障前に交換するようにしましょう。なお、GHPの稼働時間はメーターで目視可能です。メーターの設置箇所は機器によって異なります。メーターの設置箇所が分からない場合はメーカーに確認してみましょう。
GHPの寿命を延ばすためには、メンテナンスを施すことが大切です。GHPの寿命を延ばすためのメンテナンスの間隔は、一般的に約5年もしくは1万時間に1回とされています。
GHPにメンテナンスを施すことで機能やランニングコストの維持につながります。なお、メンテナンスをすることでGHPの状態を把握できるため、買い替えの時期を計画するのにも効果的です。
GHPを長期間使用していると次のような問題が発生しかねません。
1つ目の問題が、ランニングコストの増加です。GHPを長期間使用していると、ランニングコストが増加してしまう可能性があります。例えば、エアフィルターや熱交換器の掃除をしないまま使用していると、エネルギー消費量の増加へとつながりかねません。
本来であれば、GHPは電気モーターでコンプレッサーを作動させるEHP(電気ヒートポンプエアコン)に比べ、消費電力を大きく削減できる点がメリットの一つです。しかし、メンテナンスをせずに長期間使用していると、コストの削減という目的を果たせなくなってしまいます。
2つ目は、機能・性能の低下です。長期間のGHP使用は機能や性能の低下につながります。GHPを構成するのは送風機や電気電子部品などで、経年劣化により、これらの部品の機能や性能が低下するかもしれません。
故障率はメンテナンスの実施の有無によっても大きく変わります。
3つ目は、環境性能の低下です。GHPは二酸化炭素の排出量が少なく、優れた環境性能を誇る空調機ですが、長期間使用しているとエアクリーナなどの汚れによってガスと空気の混合バランスが崩れて、環境性能が低下してしまいます。
4つ目が、快適性の低下です。GHPの長期間使用は、室内の快適性の低下にもつながります。長期間の汚れがフィルターや室外機に蓄積することで、冷暖房能力の低下や異臭・異音の発生を招き、結果として室内で快適に過ごしづらくなります。
室内の温度は生産性と関係するとされています。そのため、オフィスや作業場などのGHPを長期間使用していると、従業員や作業者の生産性が低下してしまうかもしれません。
5つ目は、安全性の低下です。GHPの長期間の使用は安全性にも影響を及ぼします。安全性を確保するには、燃料ガスや冷媒ガスが漏れていないか、安全保護装置が正常に作動するかなど、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。
最後がフロンR22の供給ストップです。GHPの中には、冷媒としてフロンであるR22を使用しているタイプがあります。R22は2020年以降実質全廃されているため、入手が困難な冷媒です。そのため、メンテナンスをしようとしても費用がかさんでしまう恐れがあります。(※)
※出典:環境省.「フロン類対策の現状について」.P4
https://www.env.go.jp/content/900505167.pdf, (入手日付2023-09-01).
GHPを長期間使用していると、部品が経年劣化してしまい修理に多額の費用が必要になります。部品が供給されていれば修理は可能ですが、部品の供給が終了している場合は新たにGHPを導入する必要があります。GHP導入にかかる費用はメーカーによって異なりますが、中には室外ユニットの本体価格だけで約800万円かかるケースもあります。
このような多額の費用を抑えるには、GHPが故障する前にリニューアルを検討してみましょう。GHPのリニューアルでは、既存の冷媒配管を活用して、室内機と室外機だけを交換します。そのため、故障によるGHP更新よりも費用を大幅に抑えることが可能です。
GHPのリニューアルは導入費用を抑える以外にもさまざまなメリットがあります。
GHPのリニューアルで得られるメリットは次の通りです。
1つ目のメリットは、ガス消費量の削減です。リニューアル前のGHPが導入から10年ほど経過している場合、新しい機器を導入することでガス消費量の削減につながります。導入する機器によっては10年前よりも大幅にガス消費量を削減できるかもしれません。そのため、二酸化炭素の排出量やランニングコストを削減できます。
2つ目が、工期の短縮です。GHPのリニューアルは既存の冷媒配管を活用するため、配管工事にかかる時間をカットでき、結果として工期の短縮につながります。
3つ目は、省スペース化の実現です。GHPは受変電設備が不要なため、電気モーターでコンプレッサーを動かすEHPよりも省スペースという特徴があります。さらに、技術が進んだことで、リニューアル前の機器よりも省スペースの機器を導入可能です。
GHPの使用期間は13年もしくは3万時間でどちらか早い方とされています。そのため、保守契約も13年契約で毎年更新されるのが一般的です。
GHPをメンテナンスせず長期間使用していると、ランニングコストの増加や機能・性能の低下、環境性能の低下などの問題が発生する恐れがあります。また、長期間使用しているGHPは突然故障する可能性がある上に、部品の供給が終了していると新たにGHPを導入しなければなりません。そのため、故障前にリニューアルするのがおすすめです。
リニューアルであれば既存の冷媒配管を使用するため、施工費用を抑えられ、工期も短縮することができます。また性能が上がった機器を導入すれば、ガス消費量やランニングコストの削減も可能となります。