ESG経営って何?DXで実現するペーパーレス・働き方改革・透明性

DX推進サポート

2025.09.10

Column

最近、新聞やニュース、ビジネス誌などでよく耳にするようになった言葉に「ESG」があります。
「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったもので、世界的に企業活動の評価基準として注目されています。

一見すると「投資家や大企業のための話であって、中小企業には関係ないのでは?」と思われるかもしれません。実際、「環境?社会?ガバナンス?なんだか難しそう…」と感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、実はESGは決して特別な取り組みではありません。普段の業務改善や働き方の工夫、そして身近なDX(デジタル化)の取り組みが、そのままESG経営につながっていきます。

本記事では、そもそもESGとは何かをわかりやすく解説するとともに、DXがどのようにESG推進を後押しできるのかをご紹介します。

ESGとは?

ESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス) の頭文字をとった言葉です。もともとは投資家が企業を評価する際の視点として広まりましたが、近年では企業規模を問わず「持続可能な経営」のキーワードとして注目されています。

E:環境(Environment)

気候変動や資源枯渇といった地球規模の課題に対して、企業がどのように責任を果たしているかを示します。例えば、CO₂排出削減、省エネ設備の導入、ペーパーレス化などはすべて「環境」に配慮した取り組みです。

S:社会(Social)

社員の働きやすさや多様性の尊重、地域社会への貢献など、人や社会に対する姿勢が問われます。長時間労働を減らす仕組みづくりや、子育てと仕事を両立できる制度づくりも「社会」の一部です。

G:ガバナンス(Governance)

企業の経営や組織運営がどれだけ透明で健全かを示す要素です。内部統制や法令遵守はもちろん、情報を正しく記録・共有できる仕組みもガバナンスに直結します。

このように並べてみると、「ESG」とは特別なことではなく、すでに多くの企業が日常的に取り組んでいる改善活動を体系的に整理したものだとわかります。

「環境」「社会」「ガバナンス」——この3つの視点を意識して経営を進めることが、結果として社会からの信頼につながり、補助金や認証制度の評価対象にもなるのです。

中小企業が取り組みにくい理由(本文例:約600字)

「ESGが大事」と聞いても、中小企業にとっては少しハードルが高いと感じるケースが少なくありません。実際に経営者や総務担当の方とお話しすると、以下のような声をよく耳にします。

  • 具体的に何をすれば良いのか分からない
    「環境に優しいと言われても、太陽光発電やEV車導入のような大きな投資は難しい」と考える企業は多いものです。

  • コストがかかるのではないかという不安
    「紙を減らすためにシステムを入れると、初期投資がかさむのでは?」と心配する方もいます。

  • 大企業向けの話だと思っている
    「うちみたいな数十人規模の会社には関係ない」と思い込んでしまうケースも少なくありません。

このような理由から、「やりたいけど難しそう」「手がつけられない」と感じてしまうのです。

しかし実際には、ESG経営の入り口はもっとシンプルなところにあります。例えば、請求書や見積書を紙からクラウドに切り替えるだけでも、環境(E)の取り組みになりますし、残業を減らす仕組みをつくることは社会(S)への配慮です。また、承認フローをシステム化して誰がいつ承認したか記録が残るようにすれば、ガバナンス(G)にも直結します。

つまり、中小企業が取り組むべきは「大がかりな設備投資」ではなく、日常の業務改善やDX(デジタル化)による小さな一歩なのです。

DXが後押しするESG

中小企業が「ESGに取り組もう」と考えたとき、最も現実的で効果的な手段のひとつが DX(デジタルトランスフォーメーション) です。大がかりな設備投資をしなくても、日々の業務にデジタルを取り入れるだけで、自然とESGの3要素につながっていきます。

環境(Environment):ペーパーレス・移動削減

  • kintoneなどのクラウドサービスを使えば、見積書や請求書、勤怠管理までデジタルで完結。紙の印刷量を大幅に削減できます。
  • 電子契約を導入すれば、契約書を郵送する手間や交通移動も不要に。これがそのままCO₂削減につながります。

社会(Social):働き方改革・残業削減

  • RPAを導入すれば、夜間に自動で勤怠データや請求処理を実行可能。担当者は残業せず定時で帰宅でき、ワークライフバランス改善に直結します。
  • 社内チャットや情報共有アプリの活用により、部署をまたいだ連携もスムーズになり、働きやすい環境づくりにつながります。

ガバナンス(Governance):業務の透明化・内部統制

  • デジタルツールは「誰が・いつ・何を」入力・承認したのかを自動で記録します。これにより承認フローの不正や抜け漏れを防ぎ、内部統制を強化できます。
  • 電話や顧客対応をシステムに残すことで、トラブル発生時も記録を遡ることが可能。属人化を防ぎ、会社としての説明責任を果たせます。

このように整理すると、DXは「効率化」や「生産性向上」のためだけでなく、ESGの実践を後押しする強力なツールであることがわかります。

つまり、これまで“抽象的で難しそう”と感じていたESGが、DXを通じて「業務改善の延長線上」に見えてくるのです。

ESG認証・補助金につながるDX活用

ここ数年、自治体や商工会議所などでも 「ESG認証制度」 や 「SDGs宣言認定」 といった取り組みが広がっています。これらは、企業が環境・社会・ガバナンスに配慮していることを第三者が評価する制度で、取得することで信頼性の向上や取引拡大につながります。

また、国や自治体が公募する補助金の審査項目には「環境配慮」「働き方改革」「ガバナンス体制」といった観点が盛り込まれていることも多く、ESGを意識した経営は資金調達の面でも有利に働きます。

ここで重要なのは、ESG認証や補助金申請に必要な取り組みの多くが、すでに DXの延長線上で実現できる ということです。

ペーパーレス化 「環境(E)」評価につながる
残業削減や勤怠管理の見える化 「社会(S)」の取り組みとして評価
データ履歴が残るクラウドシステム 「ガバナンス(G)」強化の証明に

つまり、日常的な業務改善として導入したDXが、そのまま 「補助金申請の加点要素」 や 「ESG認証取得の証拠資料」 になるのです。

「ESGに取り組まなければならない」というプレッシャーではなく、DXを進めた結果として自然にESGが実現している という形が、中小企業にとって一番負担が少なく現実的な進め方だといえるでしょう。

まとめ

「ESG経営」と聞くと、大企業が投資家向けに取り組むもの、あるいは専門部署がないと難しいもの、と感じる中小企業も多いかもしれません。ですが、実際には 身近な業務改善やDXの導入が、そのままESGにつながる のです。

環境(E) ペーパーレス化や移動削減によるCO₂削減
社会(S) RPAによる残業削減、勤怠アプリによる働き方の見える化
ガバナンス(G) 承認フローや顧客対応をクラウドに残すことで透明性を確保

このように整理してみると、ESGは決して難しいテーマではなく、“日常業務を少しずつデジタルに置き換えること”から始められる取り組み だと分かります。

さらに、その取り組みは認証制度や補助金の加点要素にもなり、企業の信頼性向上や新たなビジネスチャンスにもつながります。

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ESG経営は「特別なことを新しく始める」のではなく、「普段の仕事をちょっと変える」ことから。
小さな一歩が、社会的な信頼と企業の持続可能性につながっていきます。