現場が変われば、会社が変わる～非IT人材でDXを成功させた中小企業の話～

現場の「なんでこうなるんや」を見過ごさない

「また伝票が回ってない」「在庫が合わへん」「あのお客さんへの対応、誰がやったんや？」

これはすべて、私たちが実際に社内で耳にしてきた声です。
大阪・寝屋川で住宅設備工事を営む私たちミヨシテックは、いわゆる“非IT系”の中小企業。
日々現場で働く社員たちの業務はアナログそのもの。紙、口頭、手書き。ベテランの勘。
そんな状況の中、「何かがおかしい」と感じたのが、今から数年前のことです。

私たちが最初に手を付けたのは、「見えない不満」に耳を傾けることでした。

「業務の無駄をなくせ」より「現場の困りごとをなくせ」

多くの企業がDXを推進するとき、「業務効率を上げたい」「無駄をなくしたい」という視点から始まります。
けれど、私たちは違いました。

「誰の、どんな“困った”を解消したいのか」

ここを出発点にすることで、現場の反発はほとんどありませんでした。
たとえば、伝票処理に毎日1時間以上かかっていた事務員。
ミスが続くたびに、上司の確認作業が増えていく日報提出。
「忙しくて顧客対応が後回しになる」営業担当の嘆き。

それぞれの声をもとに、仕組みで解決する方法を考え始めたのです。

ITに詳しい社員は、ひとりもいませんでした

私たちの会社にはIT部門がありません。
プログラミング経験者もいなければ、パソコンが得意という社員もわずかでした。

それでも、kintoneというツールを使って、700以上のアプリを社内で自作することができました。
それぞれの部署が、「自分たちの業務をラクにするために」アプリを作る。
経理は請求処理のミスをゼロに。
営業は履歴の管理を一元化し、過去の対応をすぐ確認できるように。
工事担当は現場ごとの部材チェックをアプリで記録することで、現場でのやり直しが激減。

これらすべてを「社内の非IT人材」だけでやってきたのです。

属人化がなくなると、会社の空気が変わる

以前は、「あの人じゃないと分からない」「この作業は○○さんだけがやってる」といった属人化が多くありました。
しかし、アプリ化・見える化・自動化を進めたことで、誰が辞めても業務が止まらない体制を作ることができました。

結果として、

月間120時間の業務時間を削減
顧客対応の抜け漏れゼロ
部門間連携のスピードアップ

など、経営数字に直接効く変化が次々と生まれました。

それでも、最初は「失敗」の連続でした

理想通りにいくことなんて、ひとつもありませんでした。
作ったアプリが誰にも使われなかった。
RPAが途中で止まって、大混乱を招いた。
データ連携に失敗して、二重管理が復活した。

でも、それを「失敗」とせず、すぐに直して、改善して、またやる。
この地道な姿勢が、会社に「変わる文化」を根づかせました。

そして何より、社員から出てくる言葉が変わりました。
「こういう機能、足せますか？」
「もっと早く確認できる方法、ありますか？」

これは、現場が“自分の業務を自分で良くしようとしている”サインです。

気づけば、他社からの視察が相次ぐように

社内の変化が進む中、外部から「一度見せてもらえませんか？」という依頼が来るようになりました。
それがきっかけで、

kintone hive Osaka 2022関西代表に選出
kintone AWARD 2022ファイナリスト登壇
経済産業省「DXセレクション2024」選出

といった機会をいただくようになり、今では全国から視察の受け入れを行っています。
けれど、私たちの伝えたいことはひとつです。

「特別な会社じゃなくても、やれば変われる」

もし、あなたの会社が「人手が足りない」「デジタルに弱い」「仕組みが回らない」と悩んでいるなら

それはまさに、私たちが通ってきた道です。

そして、そうした悩みと向き合ってきた“現場の取り組み”をまとめたのが、今回の書籍です。

『非IT人材で成果が出る DX成功ルール』──中小企業の現実から生まれた1冊

2025年6月24日発売
著：ミヨシテック代表取締役永谷顕

この本には、私たちがDXに取り組む中で直面したリアルな問題と、それをどう乗り越えてきたかの記録が詰まっています。
単なるツール紹介ではありません。
「変えたいけど、うまくいかない」に向き合ったすべての中小企業の経営者、管理職の方に読んでいただきたい内容です。

「やれるかどうか」ではなく、「やると決めた」その先にしか答えはなかった。

書籍概要

書名	非IT人材で成果が出る DX成功ルール
書名非IT人材で成果が出る DX成功ルール著者	永谷顕（株式会社ミヨシテック代表取締役）
発売日	2025年6月24日（火）
ISBN	978-4-866677-60-6
出版社	あさ出版
Amazon	予約ページはこちら

この本が、どこかの現場で誰かが「やってみようか」と思うきっかけになれば、私たちにとってそれ以上の喜びはありません。

DXは、ITの話ではなく、「会社の未来をどう作るか」の話です。
その第一歩を、あなたの会社でも。

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