kintone導入を成功に導く5つのチェックポイント
~失敗しないための準備と運用のポイントを解説~

DX推進サポート

2025.04.14

Column

なぜkintone導入が“失敗”するのか?

業務効率化や情報共有の強化を目的に、柔軟性の高いクラウドサービス「kintone」を導入する企業が増えています。しかし実際には、「思ったほど効果が出なかった」「現場で使われなくなった」という声も少なくありません。

その原因の多くは、「何を実現したいのか」が明確でないまま導入を進めてしまったことにあります。kintoneは非常にカスタマイズ性の高いツールである反面、目的や活用方針を明確にしないと、その柔軟性がかえって混乱を招くことにもつながります。

本コラムでは、kintoneの導入を「現場にしっかり定着させ、効果を実感できるものにする」ために押さえておくべき、5つの重要なチェックポイントをご紹介します。これから導入を検討している方はもちろん、すでに導入して「うまくいっていない」と感じている方にも役立つ内容です。

チェックポイント①:「目的」と「課題」を明確にする

kintone導入を成功させるための第一歩は、「何を改善したいのか?」という目的を明確にすることです。

よくある失敗のパターンとして、「便利そうだから導入してみた」「とりあえず何かできそう」といった漠然とした期待感だけでスタートしてしまうケースが挙げられます。
kintoneは非常に多機能で柔軟なツールですが、明確なゴールがないまま導入すると、何をすればいいか分からなくなり、運用が形骸化してしまうことも少なくありません。

さらに注意したいのが、目先の効率化や自動化だけを追い求めてしまうことです。
一見便利に見えるアプリや仕組みをいきなり作っても、そもそも必要な情報が整理されていなかったり、データがバラバラな状態では、効果が見えにくくなってしまいます。

まずは必要なデータを「段階を踏んで集約」する

改善したい業務の中で、どんなデータが必要なのかを洗い出し、優先順位をつけて段階的に整備していくことが重要です。
最初から完璧な仕組みを作る必要はありません。むしろ「まず必要最低限の情報を正確に集める」ことが、kintoneの効果を最大化する第一歩です。

たとえば、こんな目的設定があります。

こうした「現状の課題」と「改善したい方向性」を言語化し、必要なデータをどう集めるかを段階的に計画することが、アプリ設計の軸になります。

具体的な目的設定の例

  • 「営業部の顧客管理が属人化しており、引き継ぎに時間がかかる」
     → kintoneで対応履歴を可視化し、チーム全体で顧客情報を共有できる仕組みに。

  • 「週次報告書を紙で提出しており、集計・分析に時間がかかっている」
     → スマホ入力対応の報告アプリを作成し、報告業務の効率化と集計の自動化を実現。

目的と課題がはっきりしていれば、導入後の効果測定や継続的な改善もしやすくなります。
まずは「何に困っているのか」「どんな情報が必要なのか」「kintoneでどう変えたいのか」を社内でしっかり話し合いながら、一歩ずつ情報を整理していくことが成功の鍵です。

次のチェックポイント②では、「現場の声を取り入れる重要性」について解説していきます。

  • 紙の帳票をなくしたい
  • Excelのバージョン管理や共有ミスを減らしたい
  • 顧客対応の履歴を共有して、属人化を解消したい

目的と課題がはっきりしていれば、導入後の効果測定や改善もしやすくなります。まずは「何に困っているのか」「kintoneでどう変えたいのか」を社内でしっかり話し合うことが、成功への第一歩です。

次のチェックポイント②では、「現場の声を取り入れる重要性」について解説していきます。

チェックポイント②:現場の声を取り入れた要件整理

kintone導入でありがちな失敗例のひとつが、「情報システム部門や経営層だけで話を進めてしまう」ケースです。
現場の業務実態をよく知らないまま要件を固めてしまうと、実際の使い方と合わず、せっかく作ったアプリが使われなくなることも珍しくありません。

なぜ“現場の声”が重要なのか?

  • kintoneは、現場の日々の業務フローに深く関わるツールだからこそ、担当者の視点が不可欠です。
  • 例えば、「この項目を毎回入力するのが面倒」「承認フローの画面が分かりづらい」といったリアルな声を事前に吸い上げておくことで、実用性の高いアプリ設計ができます。

現場ヒアリングのポイント例

 

  • 現在の業務で困っていることや改善したいことは何か?
  • 入力・管理・確認作業の中で面倒に感じている部分は?
  • 使いやすいツールや画面構成に対するイメージや要望は?

現場の声から生まれたアプリ例

総務部 「紙で管理していた備品貸出表をアプリ化し、履歴を自動保存」
営業部 「Excelで煩雑だった見積もり管理を、kintoneで一元化」

“使う人が本当に便利だと思えること”を第一に考えることが、導入の成功と定着への近道です。

情報システム部門は「技術的にどう作るか」を担い、現場は「何が必要か」「どう使いたいか」を伝える。この連携が、効果的なkintone活用を生み出します。

次のチェックポイント③では、「いきなり全社導入しない、スモールスタート戦略」についてお話しします。

チェックポイント③:「小さく始めて、徐々に広げる」

kintoneはカスタマイズ性に優れたツールですが、その分「やろうと思えば何でもできる」という落とし穴もあります。導入初期からいきなり全社一括展開を目指すと、現場の混乱を招き、かえって活用が進まないケースが多く見られます。

そこでおすすめなのが、「スモールスタート」=小さく始めることです。

スモールスタートのステップ

  1. まずは1部門、1業務、1アプリから始める
     例)営業部の「日報管理アプリ」/総務部の「備品申請アプリ」など

  2. 実際に使ってもらい、効果や改善点をフィードバック
     現場の反応をもとにアプリをブラッシュアップ

  3. 成功事例として社内で共有・展開
     「○○部ではこのアプリでこんなに業務が改善された」というポジティブな成功体験が、他部署への波及を促進

kintoneは「一度作ったら終わり」ではなく、運用しながら改善して育てていくツールです。小さな成功を積み重ねながら、徐々に活用範囲を広げていく方が、社員の理解や定着率も高まり、最終的な導入効果も大きくなります。また、実際に使用できているか、躓いていないかの確認を定期的にしていくことが重要です。

ワンポイント

導入初期は、「情報システム部門」ではなく現場のキーパーソンを巻き込むことが成功のカギ!業務に直結したメリットを感じてもらえると、社内の協力体制が自然と生まれます。

次のチェックポイント④では、kintoneの活用を支える「教育とサポート体制」の重要性について解説していきます。

チェックポイント④:操作に慣れるための教育とフォロー体制

kintone導入を進める中で、最ももったいないのが「使い方が分からないから放置された…」という状況です。
どんなに便利なツールであっても、ユーザーが自信を持って使えるようにならなければ、活用は広がりません。

そのため、導入初期の教育とサポート体制づくりが非常に重要になります。

教育・サポートで押さえるべき3つのポイント

操作説明会の実施(部署別/少人数でもOK) 実際のアプリを使ったワークショップ形式で、操作に慣れてもらう。
マニュアルや社内FAQの整備  「ログインの仕方」「申請の流れ」など、基本的な操作を図解付きでまとめる。
“社内推進リーダー”の設置 各部門に1名程度、kintoneに詳しい担当者を立てて、質問の窓口役になってもらう。  小さな疑問がすぐに解消できる環境があると、利用の継続率が大きく変わります。

よくある現場の声(事前対応で回避)

  • 「見た目が複雑で、どこをクリックすればいいか分からない」
  • 「マニュアルがなくて、使い方を聞く人もいない」
  • 「一度つまずいたら、面倒で使わなくなった」

導入当初は“教育と安心感の提供”が鍵です。
「自分でもできる!」という小さな成功体験が、社内への浸透を加速させます。

次のチェックポイント⑤では、「導入後の継続的な見直しと改善文化の重要性」について解説します。

チェックポイント⑤:継続的な見直しと改善の文化を作る

kintoneは導入したら終わりではありません。
むしろ本番はそこから。「作って終わり」ではなく、「育てて活かす」ことが最大の価値です。

業務や組織の状況は時間とともに変化します。
それに合わせてアプリや運用ルールも柔軟に見直していく体制が、定着と成果の鍵を握ります。

改善サイクルを回すための3つのポイント

定期的なフィードバック会の開催 現場から「ここが使いにくい」「この項目を追加したい」といった意見を集めて反映。
改善した内容を“見える化”して共有 「こう変わった」「要望が反映された」ことをチーム内で共有することで、参加意識と信頼感が高まる。
アプリを自社で増やしていける文化づくり 例えば、株式会社ミヨシテックのように、業務部門ごとにkintoneアプリを内製化できる仕組みを作ると、DX推進が自然に加速します。

ちょっとした工夫が大きな差に

 

  • 「フィードバックシート」を月1回送るだけでも、現場の声が集まりやすくなります。
  • 社内に「アプリ改修係」や「改善提案ボード」を設置するのも効果的。

“改善する文化”をつくるメリット

  • 利用者が「このツールは成長していくもの」と実感できる
  • 他部署も「うちも使ってみようかな」と巻き込みやすくなる
  • 社内での業務改善・DX推進の好循環が生まれる

kintoneを導入して終わりにせず、継続的に見直し・改善していくことで、組織全体の業務効率化・情報共有の質が着実に向上します。
それこそが、本当の意味での「kintone導入の成功」と言えるでしょう。

kintone成功の鍵は「共感・現場主導・改善文化」

kintoneを活用して業務改革を実現するためには、単にツールを導入するだけでは不十分です。
本コラムでご紹介した5つのチェックポイントをふまえると、成功の本質は以下の3つに集約されます。

kintone導入成功の3本柱

  1. 現場との“共感”による目的共有
     現場の課題を正しく理解し、「なぜ導入するのか」を共有することがスタート地点。

  2. スモールスタートで“現場主導”の活用を促進
     小さな成功体験を積み上げながら、社内での自然な展開を図る。

  3. 継続的な見直しによる“改善文化”の定着
     kintoneを育てる意識を持ち、フィードバックと改善を繰り返す体制を作る。

また、社内にノウハウがまだない段階では、外部の「伴走型コンサル」を活用することも成功率を高める有効な手段です。
設計・運用・改善のサイクルを一緒に回してくれるパートナーがいれば、社内の不安も軽減され、導入効果が早く実感できます。

「自社でうまく進められるか不安…」という方は、まず無料の初回相談から!
業務ヒアリングからアプリの設計支援、運用後の改善サポートまで、ミヨシテックがしっかりサポートいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ぜひ、あなたの会社でもkintoneを「使われる仕組み」に育てていきましょう。