受水槽は災害時に本当に役立つ?
地震・停電時に知っておきたい給水設備のリスクと備え

給排水・衛生設備工事

2026.06.25

Column

地震や台風などの災害が起きたとき、真っ先に不安になるのが「水」です。

飲み水はもちろん、トイレ、手洗い、調理、掃除など、水が使えないだけで日常生活は一気に止まってしまいます。マンションやビル、工場、店舗、福祉施設などを管理されている方の中には、「うちは受水槽があるから、断水しても少しは安心」と考えている方も多いのではないでしょうか。

たしかに受水槽には、建物で使う水を一時的に貯めておく役割があります。そのため、災害時の備えとして役立つ場面はあります。

しかし一方で、受水槽は「あるだけで必ず安心」と言い切れる設備ではありません。地震の揺れでタンクや配管が破損したり、停電でポンプが動かなくなったり、非常時に水を取り出す仕組みが整っていなかったりすると、せっかく水が残っていても使えない可能性があります。

この記事では、受水槽が災害時に役立つケースと、使えなくなるリスク、そして管理者が今のうちに確認しておきたいポイントを、設備会社の目線でわかりやすく解説します。

地震や停電のとき、受水槽は本当に役立つのか?

受水槽の更新工事4

受水槽は、条件が整っていれば災害時の一時的な水の確保に役立ちます。ただし、タンク・配管・ポンプ・電源・取り出し方法が正常でなければ、実際には水を使えないことがあります。

受水槽とは、水道本管から送られてきた水をいったん建物内のタンクに貯め、その水をポンプや高架水槽を使って各階・各部屋へ送る設備です。マンション、ビル、病院、学校、工場、商業施設など、一定規模以上の建物で採用されていることがあります。

普段はあまり意識されない設備ですが、建物全体の水を支える「水の心臓部」のような存在です。

災害時に水道本管からの供給が止まった場合でも、受水槽の中に水が残っていれば、その水を一時的に使える可能性があります。これが「受水槽は災害時に役立つ」と言われる理由です。

ただし、ここで大切なのは「可能性がある」という点です。

受水槽に水が残っていても、ポンプが動かなければ上階へ水を送れません。タンクや配管が破損していれば漏水してしまいます。非常用の蛇口がなければ、タンク内の水を安全に取り出せないこともあります。

つまり、災害時に受水槽を本当に活かすには、受水槽本体だけでなく、周辺設備と運用方法まで含めて考える必要があります。

受水槽が災害時に役立つケース

受水槽は、建物の状況によっては断水直後の大切な水源になります。特にタンク本体が無事で、非常時に水を取り出せる仕組みがある場合は、災害時の備えとして有効です。

タンク内に水が残っている場合

受水槽方式の建物では、日常的に一定量の水がタンク内に貯められています。そのため、水道本管が一時的に断水しても、タンク内に残っている水を使える可能性があります。

たとえばマンションであれば、住民の飲み水やトイレ用水として、ビルや店舗であれば、最低限の衛生管理や手洗い用水として役立つことがあります。

もちろん、使える量には限りがあります。普段通りに大量の水を使ってしまうと、短時間でタンクの水はなくなります。災害時に受水槽の水を使う場合は、飲用、手洗い、トイレなど、用途の優先順位を決めておくことが重要です。

受水槽・配管・ポンプが破損していない場合

受水槽が災害時に機能するには、タンク本体が無事であることが前提です。

地震では、建物全体が大きく揺れます。その際、受水槽のパネル、架台、接続配管、バルブ、ポンプまわりに大きな負荷がかかります。見た目には倒れていなくても、接続部から漏水していたり、配管に亀裂が入っていたりすることもあります。

特に屋外に設置されている受水槽は、長年にわたって紫外線や雨風の影響を受けています。経年劣化が進んでいる場合、地震の揺れをきっかけに破損するリスクが高まります。

日頃から受水槽の劣化状態を確認しておくことは、災害時の備えにも直結します。受水槽内部の劣化や防水・防食については、受水槽ライニング工事とは?劣化の症状・改善効果・ポンプ更新まで徹底解説でも詳しく解説しています。

非常用給水栓が設置されている場合

受水槽に水が残っていても、取り出す方法がなければ活用できません。

災害時に問題になりやすいのが、「タンクの中には水があるのに、どうやって取り出すのか」という点です。上部のふたを開けてバケツでくみ上げるような方法は、衛生面でも安全面でもおすすめできません。

そこで重要になるのが、非常用給水栓です。

非常用給水栓とは、受水槽の水を災害時などに取り出すための蛇口のような設備です。これが設置されていれば、停電でポンプが止まっている場合でも、受水槽内の水を比較的安全に取り出せる可能性があります。

ただし、非常用給水栓を設置しているだけでは十分ではありません。災害時に誰が開放するのか、飲用として使える状態かどうかをどう判断するのか、住民や利用者へどう案内するのかといった運用ルールも必要です。

マンションの管理組合や施設管理者の方は、設備面とあわせて「使い方のルール」も確認しておくと安心です。

受水槽が災害時に使えなくなる主なリスク

受水槽

受水槽は災害時の備えになりますが、同時にリスクもあります。特に地震による破損、停電によるポンプ停止、配管トラブル、衛生面の問題は事前に把握しておくべきポイントです。

地震の揺れでタンクやパネルが破損する

受水槽は、水を大量に貯める設備です。地震が起きると、タンク内の水も大きく揺れます。水の揺れによってタンクのパネルや接合部に力がかかり、ひび割れや破損、漏水につながることがあります。

特に古い受水槽では、パネルの劣化、ボルトの緩み、架台の腐食などが進んでいる場合があります。普段の点検では大きな異常が見つからなくても、強い揺れが加わったときに一気に不具合が出ることもあります。

受水槽は「水が入っているから安心」ではなく、「揺れに耐えられる状態か」「漏水していないか」「接続部に負担がかかっていないか」を見ておく必要があります。

停電でポンプが止まる

受水槽方式では、タンクに貯めた水をポンプで建物内へ送るケースが多くあります。つまり、ポンプが止まると水を送れなくなる可能性があります。

地震や台風では、断水だけでなく停電も同時に起こることがあります。受水槽内に水が残っていても、加圧ポンプや制御盤が動かなければ、上階の蛇口から水が出ないことがあります。

低層階では一部使える場合もありますが、建物の構造や設備方式によって状況は異なります。

また、停電から復旧したあとも、ポンプや制御盤に異常が出ていると正常に給水できません。電気が戻ったからといって、必ず水が元通り使えるとは限らないのです。

配管やバルブが破損する

災害時の給水トラブルは、受水槽本体だけで起きるわけではありません。受水槽とポンプをつなぐ配管、建物内へ水を送る給水管、バルブ、継手などにも負荷がかかります。

地震で配管がずれたり、接続部が折れたりすると、タンクに水があっても建物内へ送れません。場合によっては、漏水によって機械室や地下ピットが水浸しになることもあります。

マンションやビルでは、配管が天井裏や壁の中、地下ピットなど見えにくい場所を通っていることも多く、普段から状態を把握しづらいのが難点です。

災害時に慌てないためには、平常時から「どこにバルブがあるか」「どこで止水できるか」「ポンプ室や受水槽まわりに異常がないか」を確認しておくことが大切です。

衛生面の確認が必要になる

受水槽の水を飲用として使う場合、衛生面の確認も欠かせません。

受水槽は定期的な清掃や点検が必要な設備です。清掃が不十分だったり、ふたの破損や隙間から異物が入ったりしていると、水質に不安が出ることがあります。

また、災害時に上部のふたを開けてバケツなどで水をくみ出す方法は、異物混入や二次汚染のリスクがあります。災害時だからこそ、衛生的に水を取り出せる仕組みが必要です。

「タンクに水があるか」だけでなく、「その水を安全に使える状態か」まで確認することが、受水槽の災害対策では重要です。

受水槽方式と直結給水方式、災害時に強いのはどちら?

受水槽方式と直結給水方式には、それぞれメリットとデメリットがあります。災害対策では「どちらが絶対に正解」ではなく、建物の用途・規模・水の使い方・維持管理体制に合わせて判断することが大切です。

受水槽方式のメリット

受水槽方式の大きなメリットは、建物内に一定量の水を貯めておけることです。

断水直後でも、タンク内に水が残っていれば一時的に活用できる可能性があります。災害時の備蓄水として考えると、これは大きな安心材料になります。

また、水道本管からの圧力に左右されにくく、建物側でポンプを使って必要な水圧を確保しやすい点も特徴です。大規模な建物や水使用量の多い施設では、受水槽方式が適している場合もあります。

受水槽方式のデメリット

一方で、受水槽方式には維持管理の負担があります。

タンクの清掃、点検、水質管理、ポンプの保守、制御盤の確認、警報設備の点検など、管理すべき範囲が広いです。これらが不十分だと、災害時だけでなく日常の給水トラブルにもつながります。

また、受水槽が古くなると、内部の防水層の劣化、パネルのひび割れ、漏水、ポンプへの負荷増加などが起こりやすくなります。受水槽を使い続ける場合は、計画的なライニング工事や更新を検討する必要があります。

直結給水方式のメリット

直結給水方式は、水道本管からの水を受水槽に貯めず、直接建物へ給水する方式です。建物の規模や地域の水圧条件によっては、直結直圧方式や直結増圧方式が採用されます。

メリットは、受水槽を介さないため衛生面で有利になりやすいこと、タンク清掃などの維持管理負担を減らせること、受水槽スペースを有効活用できることです。

受水槽の老朽化や清掃コストに悩んでいる建物では、直結給水方式への変更が選択肢になる場合があります。直結ブースターポンプ方式については、受水槽はもう古い?直結ブースターポンプ方式とは ~衛生・コスト・災害対策まで徹底解説~でも詳しく紹介しています。

直結給水方式の注意点

直結給水方式にも注意点はあります。

水道本管が断水すれば、基本的には建物側でも水が使えなくなります。また、増圧ポンプを使う方式では、停電やポンプ故障の影響を受ける場合があります。

つまり、直結給水方式にすれば災害時の不安がすべてなくなるわけではありません。非常用貯水槽、非常用電源、飲料水の備蓄、応急給水計画などと組み合わせて考えることが大切です。

受水槽方式も直結給水方式も、それぞれに強みと弱みがあります。大切なのは、今の建物にとってどちらが適しているかを、設備の状態や将来の修繕計画まで含めて判断することです。

災害に備えて受水槽まわりで確認しておきたいポイント

受水槽を災害時に活かすには、日頃の点検と現状把握が欠かせません。管理者は、タンク本体だけでなく、ポンプ、制御盤、警報灯、配管、非常時の運用ルールまで確認しておく必要があります。

受水槽本体に劣化や漏水がないか

まず確認したいのは、受水槽本体の状態です。

外観にひび割れがないか、パネルの変形がないか、ボルトまわりに錆や緩みがないか、架台が腐食していないかを確認します。屋外設置の場合は、紫外線や雨風による劣化が進みやすいため注意が必要です。

内部については、清掃時や専門業者による点検で、防水層の剥がれ、クラック、汚れ、沈殿物、水質悪化の兆候などを確認します。

受水槽は外から見ただけでは、内部の劣化がわかりにくい設備です。「水漏れしていないから大丈夫」と思っていても、内部では劣化が進んでいることがあります。

ポンプ・制御盤・警報灯が正常に動くか

受水槽はタンクだけで完結する設備ではありません。ポンプ、制御盤、電源、警報灯などが連動して、はじめて建物内へ水を送ることができます。

特に重要なのが、受水槽の警報灯です。

警報灯は、満水、減水、ポンプ異常、電源トラブル、制御系の異常などを知らせる役割があります。もし警報灯が点灯・点滅している場合は、「とりあえずリセットする」「音がうるさいから電源を切る」といった自己判断は避けるべきです。

警報は、設備が出している大切なサインです。放置すると、断水、漏水、ポンプ故障、衛生リスクにつながる可能性があります。

受水槽の警報灯については、受水槽警報灯が点灯する原因と対応策 ~法人施設での設置・更新の重要性~でも詳しく解説しています。

非常用給水栓や取り出し方法があるか

災害時に受水槽の水を使うなら、非常用給水栓の有無も確認しておきたいポイントです。

非常用給水栓がない場合、タンク内の水を安全に取り出せない可能性があります。特にマンションや福祉施設、学校、工場、店舗など、多くの人が利用する建物では、非常時の水の取り出し方法を事前に決めておくことが重要です。

確認しておきたいのは、次のような内容です。

  • 非常用給水栓が設置されているか
  • 災害時に誰が操作するのか
  • 飲用・生活用水の区分をどう判断するのか
  • 利用者や住民へどう周知するのか
  • 受水槽まわりに安全に近づける動線があるか

設備があっても、使い方が決まっていなければ災害時に混乱します。設備点検とあわせて、管理ルールの確認も進めておきましょう。

ポンプの更新時期を過ぎていないか

給水ポンプは、建物の水を支える重要な設備です。ポンプが故障すると、受水槽に水があっても各階へ水を送れなくなる場合があります。

ポンプは、使用年数や運転時間、設置環境によって劣化します。異音、振動、圧力不足、頻繁な発停、漏水、制御盤の不具合などが出ている場合は、早めの点検が必要です。

また、古いポンプは部品供給が終了していることもあります。災害後に故障が発覚しても、すぐに部品が手に入らない可能性があります。

「壊れてから考える」ではなく、「壊れる前に更新計画を立てる」ことが、施設管理では大切です。

受水槽だけでなく給排水設備全体を見る

災害対策というと、受水槽だけに目が向きがちです。しかし実際には、建物の水まわりは給水・排水・衛生設備がつながって成り立っています。

受水槽が無事でも、排水設備が使えなければトイレや厨房は使いにくくなります。給水ポンプが動いても、排水ポンプや汚水ポンプに異常があれば、建物全体の衛生環境に影響します。

飲食店や工場、病院、福祉施設、オフィスビルなどでは、水が止まることが営業停止や業務停止につながることもあります。受水槽だけでなく、ポンプ室、排水設備、給湯設備、電源、制御盤まで含めて見直すことが大切です。

厨房設備を含む施設では、給排水設備との整合性も重要です。業務用厨房まわりの考え方については、業務用厨房機器の基礎知識 導入前に知るべき給排水・衛生設備のポイントも参考になります。

大阪府を中心に、受水槽や給水設備を見直すなら

大阪府を中心に、マンション・ビル・工場・店舗・医療施設・福祉施設などを管理されている方は、災害前の点検と更新計画が重要です。受水槽や給水ポンプは、普段問題なく動いているように見えても、地震や停電をきっかけに一気に不具合が表面化することがあります。

ミヨシテックでは、寝屋川市・枚方市を中心に、大阪府全域で受水槽・給水ポンプ・給排水設備に関するご相談に対応しています。

また、京都府・奈良県・兵庫県の一部エリアからのご相談も承っております。対応可否は建物の場所や工事内容によって異なりますので、その他地域の方もまずはお気軽にご相談ください。

受水槽まわりの点検では、タンク本体だけを見ればよいわけではありません。現場では、ポンプ、制御盤、警報灯、バルブ、配管、電源、排水設備まで確認する必要があります。

たとえば、受水槽のライニングを検討している建物でも、同時にポンプの劣化が進んでいることがあります。警報灯が古くなっていて、異常を正しく知らせられない状態になっていることもあります。

設備は単体ではなく、つながりで見ることが大切です。

ミヨシテックは、空調、給排水、衛生設備、ガス設備、電気工事などを扱う設備会社として、建物全体の設備を現場目線で確認できます。

災害対策として受水槽を残すのか、直結給水方式への変更を検討するのか、ポンプや制御盤を更新するのか。建物ごとの状況に合わせた判断が必要です。

「古いけれど、まだ使えているから大丈夫」
「点検はしているけれど、災害時に使えるかまでは考えていなかった」
「受水槽の水を非常時にどう取り出すのかわからない」

このような場合は、一度設備全体を確認しておくと安心です。

まとめ|受水槽は災害時の備えになるが、点検なしでは安心できない

受水槽は、災害時に水を確保するための有効な設備になる可能性があります。

タンク内に水が残っていて、受水槽本体や配管、ポンプが無事で、非常用給水栓などの取り出し方法が整っていれば、断水直後の大切な水源として役立ちます。

しかし、受水槽があるだけで安心とは言い切れません。

地震によるタンクや配管の破損、停電によるポンプ停止、制御盤や警報灯の不具合、衛生面の問題など、災害時にはさまざまなリスクがあります。

大切なのは、「受水槽があるかどうか」ではなく、「災害時に本当に使える状態かどうか」です。

そのためには、次のような確認が欠かせません。

  • 受水槽本体に劣化や漏水がないか
  • ポンプや制御盤が正常に動くか
  • 警報灯が正しく機能しているか
  • 非常用給水栓など水を取り出す方法があるか
  • 災害時の使用ルールが決まっているか
  • 受水槽方式を継続するか、直結給水方式を検討するか

災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、平常時に設備の状態を知っておくことが何より大切です。

ミヨシテックでは、大阪府全域を中心に、京都府・奈良県・兵庫県の一部エリアでも、受水槽、給水ポンプ、警報灯、制御盤、給排水設備の点検・更新相談に対応しています。

「災害時、この受水槽は本当に使えるのか不安」
「ポンプや警報灯もまとめて見てほしい」
「受水槽を残すべきか、直結給水へ変更すべきか相談したい」

そんなときは、まずはお気軽にミヨシテックへご相談ください。その他地域の方も、対応可能な場合がありますので、建物の状況やお困りごとをお聞かせください。