受水槽警報灯が点灯する原因と対応策
~法人施設での設置・更新の重要性~

給排水・衛生設備工事

2025.10.02

Column

マンションやビル、工場、病院など、大規模な建物に欠かせない設備のひとつが「受水槽」です。受水槽は水道本管から送られてくる水を一時的にため、建物全体に安定して供給するための装置であり、まさに“水の心臓部”といえる存在です。普段は目立たない場所に設置されているため意識されることは少ないですが、その役割は非常に大きく、ひとたびトラブルが起これば建物全体に断水や衛生リスクをもたらすこともあります。

そんな受水槽に取り付けられているのが「警報灯や警報ブザー」です。赤い回転灯や点滅するランプを見かけたことがある方もいるかもしれません。これは、受水槽や給水ポンプに異常が発生したことを知らせるための警告装置で、断水・漏水・故障といった重大トラブルを未然に防ぐための“最後の砦”といえる存在です。

しかし実際には、「警報灯が光っているのは見たけれど、どう対処すればいいかわからない」「ブレーカーを落としたら止まるから、そのまま放置してしまった」という声も少なくありません。設備に詳しくない管理者や担当者にとっては、突然の赤いランプは不安をあおるものの、具体的な行動につなげられず戸惑ってしまうケースが多いのです。

本コラムでは、受水槽の警報灯が点灯する原因や、点灯時に取るべき正しい対応をわかりやすく解説します。さらに、意外と見落とされがちな「そもそも警報灯が設置されていない」ケースや、古い装置の更新の必要性にも触れ、設備管理における警報灯設置の重要性を整理します。最後に、点検・修理に加えて新規設置や更新工事まで一貫して対応できるミヨシテックのサポートについてもご紹介します。

――警報灯は“点いたら困るランプ”ですが、正しく理解し、備えることで安心につながります。建物の安全と入居者・利用者の快適な生活を守るために、受水槽警報灯の知識を一緒に押さえていきましょう。

受水槽警報灯の役割

受水槽の警報灯は、建物の給水設備において「異常の早期発見」を担う極めて重要な存在です。普段は消灯しており、静かに見守っているだけですが、異常を検知すると赤く点灯または点滅し、管理者に「何かトラブルが起きています」と知らせてくれます。いわば、建物の水インフラにとっての“非常ベル”のようなものです。

では、この警報灯は具体的にどのような異常を知らせているのでしょうか。代表的な例を挙げると次のようになります。

水位異常(満水・空水)

受水槽の水が異常に多すぎたり(満水)、逆に貯水量が一定量より(減水)した場合に警報を発します。満水状態はオーバーフローによる浸水や周囲への漏水につながり、減水は建物全体の断水リスクを意味します。

ポンプ異常

受水槽から高架水槽や各階へ水を送る給水ポンプが故障、過負荷、停止した際にも警報が出ます。ポンプの停止はすぐに断水につながる場合が多いため、非常に重大です。

漏水検知

漏水検知設備が備わっている場合、配管の破損やバルブの不良によって漏水が発生すると、異常な流量や水位変化を検知してランプが点灯します。早期発見できなければ、建物のライフラインや設備に大きな損害を与える可能性があります。

電源・制御系のトラブル

停電や制御盤の異常が起こると、システム全体が正常に機能しなくなります。蓄電式やバックアップ電源が備わっていれば、その際も警報灯が点灯し、早急な確認を促します。

また、警報灯の点灯方法には「常時点灯」「点滅」があり、これにブザーや警報音が連動している場合もあります。つまり“光るだけでなく、音でも異常を知らせる”仕組みになっていることが多く、維持管理をしている人が気づきやすい工夫がされています。

このように、受水槽の警報灯は「見える化」された異常警報として、建物の安全運営を支えています。これがなければ、受水槽内で進行しているトラブルを誰も気づかずに放置してしまう恐れがあるのです。特に法人施設では、給水トラブルは住民や従業員、患者、利用者に直結するため、警報灯が果たす役割は非常に大きいといえます。

警報灯点灯の主な原因とリスク

受水槽の警報灯が点灯したとき、多くの管理者が「一体なにが起こっているのか?」と不安になります。前章で触れたように、警報灯は水位やポンプ、電源などの異常を知らせるものですが、その裏には重大なリスクが潜んでいます。ここでは、法人施設で実際に起こり得る代表的な原因と、それぞれのリスクを整理してみましょう。

水位異常(満水・空水)

満水状態

ボールタップや定水位弁の不具合で水が止まらず、受水槽から水があふれ出すケースです。周囲に浸水被害を与えるだけでなく、漏水が地下ピットや電気設備に及ぶと、建物全体の機能停止にもつながります。水道料金の無駄も大きな問題です。

減水状態

水道本管からの供給が停止している場合や、供給設備に異常が発生してる場合などに発生します。減水はすぐに「断水リスク」と直結し、マンションでは住民生活、病院や工場では業務継続に大きな影響を与えます。

ポンプ異常

受水槽から水を送る加圧ポンプに不具合が発生し、動かなくなった場合、建物内に水を供給できなくなります。

マンション 各戸で水が出なくなり、大規模な住民トラブルに発展。
工場 冷却設備や製造ラインが止まり、生産停止リスクに直結。
病院 患者の生活用水や医療設備の冷却に支障が出て、施設運営が停止。

法人施設にとって、給水設備異常は「安定したライフライン」を脅かす深刻なトラブルとなり得ます。

漏水検知

受水槽や配管に不具合があると、水位の異常変動や流量異常を検知し警報灯が点灯します。

  • 小さな漏水でも放置すれば、床下や壁内部に浸水が広がり、建物の耐久性や衛生環境に悪影響を与えます。
  • 大規模な漏水では、水道料金の高額請求、建物内の設備や商品への損害賠償、さらには利用者や住民への安全問題に発展する可能性があります。

電源・制御系トラブル

停電や制御盤の故障は、受水槽やポンプの運転を直接止めてしまいます。

  • 電源が切れるとポンプが停止 → 即座に断水。
  • 制御盤の異常で誤作動や過剰運転が続くと、設備そのものの寿命を縮める危険性。
  • 不安定な電源環境が続くと、警報灯が頻繁に点灯し、誤警報か実警報か判別できず混乱する場合もあります。

放置することのリスク

警報灯は“光った時点で異常が発生している”ことを意味します。これを無視したり、「そのうち消えるだろう」と放置してしまうと、次のような被害が現実化します。

  • 突然の断水による住民クレームや事業停止
  • 建物設備の二次被害(電気系統のショート、構造材の腐食)
  • 水質悪化による衛生リスク(レジオネラ菌の繁殖など)
  • 保険や賠償問題への発展

つまり、警報灯の点灯は“建物が発しているSOS”であり、法人施設の管理者にとって見逃してはならないサインなのです。

やってはいけないこと

自己判断でのリセット操作

一時的にランプが消えても、根本原因が解決しなければ再発します。

電源遮断やポンプ停止を無闇に行うこと

断水を引き起こし、利用者への影響が拡大する恐れがあります。

放置すること

一番危険な対応。小さな異常が大事故につながります。

⑤ 専門業者による復旧の流れ

専門業者が到着すると、次のような手順で対応が進められます。※参考例です。

  1. 警報内容・異常箇所の特定
  2. 応急処置(断水や漏水被害の最小化)
  3. 部品交換・修理など恒久対策の提案
  4. 今後の再発防止策(定期点検や設備更新の検討)

警報設備設置の重要性

ここまで「警報灯が点灯したときの対応」について解説しましたが、そもそも受水設備に警報設備が設置されていない建物も少なくありません。特に築年数が古いビルやマンションでは、当時の法規制や仕様に基づいて設計されており、警報装置が未設置のまま運用されているケースが見られます。これは、設備管理上の大きなリスクといえるでしょう。

設置されていない場合のリスク

警報灯がないと、異常が発生しても「目で確認できない」ため、トラブルが顕在化するまで気づけません。

水位異常 異常な使用水量である事に通知が来て気付く。
漏水 建物に水が広がり、浸水被害が出てから判明
ポンプ異常 供給水の停止(断水)で気付く。

つまり、警報灯がない環境では「予兆を見逃し、被害が拡大してから対応する」という最悪のシナリオに陥りやすいのです。法人施設においては、断水や漏水による損害は莫大であり、利用者や入居者からの信頼を大きく損なう要因になります。

老朽化した装置の問題

警報灯が設置されていても、設置から20年、30年が経過している場合は要注意です。

  • レンズが劣化して光が見えにくい
  • 電球切れや回転モーターの不具合
  • 制御盤との接続不良で正しく点灯しない

このように、設置されていても機能していなければ意味がありません。見かけ上は「安心」でも、いざというときに役立たない状態ではリスクはむしろ高まります。

ミヨシテックによる設置・点検・更新サポート

受水槽の警報装置は「点灯時の対応」だけでなく、未設置や老朽化のまま放置していないかも重要なチェックポイントです。そこで頼りになるのが、給水設備工事を幅広く手がけるミヨシテックです。私たちは、大阪府を中心にマンション・オフィスビル・工場・病院など多様な法人施設で、受水槽や給水ポンプ設備の点検・修理・更新工事を行ってきました。その豊富な実績を活かし、警報灯に関しても以下のようなサポートを提供しています。

① 新規設置工事

「うちの受水設備には警報装置が付いていない」という法人様には、新規設置工事をご提案できます。既存の受水槽・制御盤に合わせた仕様設計を行い、建物の規模や使用状況に最適な警報システムを導入。これにより、異常の早期発見体制を構築できます。

② 老朽化した装置の更新

設置から経年劣化した警報灯は、光が弱くなったり、故障しても気づかないことがあります。ミヨシテックでは最新型のLED警報灯や高耐久タイプへの更新を行い、「いざというとき確実に知らせる」環境をご提案します。

③ 定期点検・保守契約

受水槽そのものは水道法で年1回の清掃・点検が義務付けられていますが、警報灯や制御盤も定期点検が不可欠です。

④ 突発トラブルへの迅速対応

もしも警報装置が作動してしまった場合も、ミヨシテックなら地域密着の強みを活かして迅速対応が可能です。断水や漏水といった大きなトラブルも、経験豊富な技術者が現場調査から応急処置、恒久修理までスピーディーに行います。

⑤ 法人対応エリア

寝屋川市・枚方市・高槻市をはじめ大阪府全域、さらに近隣エリアにも対応しています。マンション管理組合、ビル管理会社、工場や病院の設備担当者様からのご相談を数多くいただいており、現場に即した最適なご提案が可能です。

受水槽の警報灯は、建物のライフラインを守る“小さな警告灯”ですが、その存在は非常に大きな意味を持ちます。ミヨシテックは「設置」「更新」「点検」「緊急対応」まで一貫サポート。建物の規模や用途に合わせた最適なプランをご提案しますので、安心してお任せください。

まとめ

受水槽は、建物にとってなくてはならない“水の心臓部”です。そして、その異常を最初に知らせてくれるのが「警報灯」でした。赤いランプが点灯・点滅しているということは、すでに水位異常・ポンプの不具合・漏水・電源トラブルといった問題が発生しているサインです。放置すれば断水や浸水、水質事故につながり、法人施設では住民や従業員、患者や利用者の生活・業務に深刻な影響を与えることになります。

大切なのは「点灯してから慌てる」のではなく、日頃から正しい知識と備えを持つことです。パトランプが未設置の場合は速やかに導入を、老朽化している場合は更新を検討すべきです。また、設置されているからといって安心せず、定期的な点検や保守契約を通じて“確実に作動する状態”を維持することが、設備管理者の責務といえるでしょう。

ミヨシテックでは、受水槽や給水ポンプ設備の点検・修理に加え、警報装置の新規設置工事や更新工事にも対応しています。