業務用と家庭用のエアコンの違いとは? エアコンを選ぶポイントも解説

お役立ちコラム
エアコン

2024.01.19

Column

自宅でも会社・店舗でも、エアコンを設置するのに業務用と家庭用のどちらを選ぶべきか、迷う場合があります。業務用と家庭用では歴然とした違いがあるので、選び方を間違えるとコストや使い勝手などの面で影響が出てしまいます。

 

本記事では、業務用と家庭用のエアコンの違いを、冷暖房能力や工事内容など複数のポイントから解説するとともに、エアコンの選び方を解説します。新しくエアコンを設置しようと考えている方や今使っている機種からの買い替えをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

 

まずは家庭用エアコンと業務用エアコンについて知ろう

家庭用エアコンと業務用エアコンで、どちらを設置すべきかを検討する際には、まずはそれぞれの特徴を押さえておくことが大切です。

 

ここでは、家庭用エアコンと業務用エアコンの概要をご紹介します。

 

家庭用エアコンとは

家庭用エアコンは、一般家庭での稼動を前提に設計・提供されているエアコン全般を指します。通常、1台の室内機と1台の室内機で運転するタイプのエアコンです。

 

中には業務用エアコンのように、複数のエアコンを1台の室外機に接続して運転できるマルチタイプもあります。家庭用エアコンの設置タイプはさまざまですが、一般的なのは壁掛けタイプです。このタイプは正式にはルームエアコンと呼ばれます。

 

家庭用エアコンのサイズは、例えば壁掛けタイプなら、高さ25〜30cm程度、幅は70〜90cm程度、奥行き20〜40cm程度まで多様です。6畳や14畳、20畳など、対応する空間の広さにより適した機種やサイズが変わります。

 

業務用エアコンとは

 

業務用エアコンとは、業務に使用される広い空間の温度をコントロールする目的で設置されるエアコン全般を指します。業務用エアコンは、会社のオフィスや飲食店・美容室などの店舗、医療機関、映画館やカラオケルームのような娯楽施設など、多種多様な建物に設置されます。

 

ビルやオフィス、店舗、工場などで使用されるエアコンの総称は、パッケージエアコンです。店舗オフィス用エアコン、業務用マルチエアコン(ビル用マルチエアコン)、設備用・工場用エアコンの3つのタイプに分けられ、それぞれ適した広さや活用方法が異なります。家庭用エアコンと悩む場合には、店舗オフィス用エアコンと比較することがほとんどでしょう。店舗オフィス用エアコンは、1台の室外機に1台もしくは複数の室内機を接続できますが、室外機が稼動中の場合はすべての室内機も同時に稼動します。

 

設置タイプについては、壁掛けタイプや壁埋め込みタイプ、天井埋め込みタイプや天井に吊るすタイプ、床置きタイプなど、用途に応じて多くの種類があります。

 

サイズも設置タイプや空間の広さによりさまざまです。例えば天井埋め込みタイプの場合は、高さ25〜34cm程度、幅85〜95cm程度、奥行85〜95cm程度などのサイズがあります。

 

業務用はビル用マルチエアコンも

 

ビル用マルチエアコンは、主に3,000㎡以上の大きいスペースに設置されるタイプです。通常の業務用エアコンよりも出力が大きく、1台の室外機に複数の室内機を接続できます。

 

室内機はそれぞれ出力が異なっても問題ないため、室外機が稼動中でも各室内機はそれぞれ個別に運転が可能です。ビル用マルチエアコンは、通常の業務用エアコンよりも配管をより長くしやすく、室内機と室外機の高低差もより大きいため、設置の自由度が高いのも特徴の一つです。

 

家庭用エアコンと業務用エアコンの違い

ここまで、家庭用エアコンと業務用エアコンの特徴を簡単に解説してきました。実際のところ、家庭用エアコンと業務用エアコンの間には、冷暖房能力や機能性、電源・電圧、電気料金・契約など、いくつかの観点から多くの違いがあります。ここでは、以下の6つのポイントから、それぞれの違いを解説します。

 

冷暖房能力の違い

 

家庭用エアコンと業務用エアコンの違いが最も大きく出るのは、冷暖房能力です。エアコンの冷暖房能力は、kW(キロワット)または馬力を単位として表されます。より広い空間の室温を調整する業務用エアコンは、家庭用エアコンよりもkWあるいは馬力が大きいのが一般的です。

 

家庭用エアコンの場合、通常は「6畳」や「14畳」など、主に畳を単位としたさまざまな広さに対応しており、最大で29畳程度まで対応可能です。冷暖房能力は、0.5馬力から3馬力程度です。

 

一方業務用エアコンは、先述の3,000㎡以上に対応するビル用マルチエアコンの特徴からも分かるとおり、大規模な空間に対応しています。そのため、冷暖房能力は1.5馬力から10馬力程度と幅広い範囲での出力が可能です。

 

機能性の違い

 

機能性もまた、家庭用エアコンと業務用エアコンの違いが大きく出るポイントです。

 

家庭用エアコンの機能は製品により異なりますが、自動感知センサーやフィルター自動掃除機能、省エネ機能、空気清浄機能など、ユーザーの暮らしを快適にする上で役立つ便利機能が多く付いているのが特徴です。

 

一方、業務用エアコンの場合、基本的に大規模なスペースでの空調を主眼に置いているため、空間を冷やす・暖める機能をベースとしています。そのため、家庭用エアコンに見られるような便利機能はないものも多く見られます。

 

ただし、近年では業務用エアコンでもユーザビリティを考慮し、便利な機能が備わった機種を選ぶことも可能です。

 

電源・電圧の違い

 

家庭用エアコンと業務用エアコンでは、電源と電圧の面でも大きく異なります。家庭用エアコンはあくまで一般家庭用です。そのため、低い電圧に対応した電源が必要となり「単相100Vもしくは単相200V」という電源を使用します。

 

一方、業務用エアコンには、広いスペースの温度を一定に維持する上で長時間の稼動に対応できる電源が必要です。そのため、業務用エアコンには「三相200V」という電源を使用します。三相200Vは単相よりも電圧が高く、産業用の大型電気機器類を動かす動力を供給しています。

 

ただし、業務用エアコンでも、例えば狭いオフィスや店舗などで使用する場合は、家庭用と同じく単相の電源で間に合うケースも少なくありません。

 

電気料金・契約の違い

 

電気料金や契約の面での違いについても見てみましょう。

 

家庭用エアコンでは単相100V・200Vの電源を使用するため、通常は「電灯」(従量電灯)の契約となります。基本料金は低く抑えられているものの、使用した電気量に応じて料金が増えていく仕組みです。

 

業務用エアコンの場合、大半が三相200Vに対応しているため「動力(低圧電力)契約」が必要となります。ただし、施設によっては供給電圧が600Vの「高圧電力契約」が適用されます。

 

動力(低圧電力)契約は、基本料金が高めに設定されているものの、使用量に応じた料金は低めに抑えられています。このように契約によって電気料金の算出方法や契約内容自体が異なるため、施設の大きさに合ったエアコンを選ぶことが大切です。

 

室外機・室内機の組み合わせの違い

 

家庭用と業務用では、室外機と室内機の組み合わせも異なります。家庭用エアコンは、基本的に室外機と室内機が一対となって設置されます。対して業務用エアコンは、1台の室外機に複数の室内機を接続可能です。その場合、同時運転マルチか個別運転マルチかにするかの違いもあります。

 

同時運転マルチは、室外機に接続されたすべての室内機が同じ状態で同時に稼動する方式です。例えば、仕切りが全くない一つの大きな空間の室温を複数のエアコンで空調する場合、同時運転マルチが向いています。

 

一方の個別運転マルチは、室内機に接続された個々の室内機が、設定温度の違いやオンオフなど、それぞれ同時に異なる状態で稼動する方式です。例えば事務スペースや会議室、休憩室など、個々の区切られた空間ごとに異なる条件でエアコンを稼働させたい場合は、個別運転マルチが適しています。

 

工事内容の違い

 

工事内容の違いも押さえておくべきポイントです。家庭用エアコンは基本的に室外機と室外機が一対のセットなので、簡単に設置が可能です。家電量販店などで本体を購入する際、合わせて工事を依頼できるのも設置を容易にしているポイントです。

 

対して業務用エアコンは、スペースの規模や設置場所、機種の仕様などさまざまな点で違いがあるため、設置工事の内容が複雑化します。例えば室内機の天井への埋め込みやフロンガスの回収、配管洗浄など、特別な工事が必要です。

 

配管工事一つ取っても、室内機と室外機を接続する冷媒配管を適切な長さで設置しなければならず、専門業者の協力が不可欠です。そのため、設置場所によっては工事が完了するまでにある程度の日数を要する場合もあります。

 

作業内容や工程が複雑化しより長い作業時間が必要となると、当然ながら工事費用もかさみます。

 

家庭用と業務用、どちらのエアコンを選べば良い?

 

家庭用エアコンと業務用エアコンの違いが分かったところで、自分に必要なエアコンはどのように選べばよいのでしょうか。

 

自宅にエアコンを設置する場合、必ずしも「自宅だから家庭用エアコンでなければならない」「業務で使用するから業務用を選ばなければならない」とは限りません。自宅でも業務用エアコンの設置は可能です。

 

それでは家庭用と業務用、どちらのエアコンを選ぶべきかを検討する際に押さえておきたいポイントを、一つひとつ見ていきましょう。

 

業務用と家庭用エアコンの選び方

 

業務用エアコンを検討する際は、設置場所の広さや形状、業種で選ぶことをおすすめします。

 

例えば、30畳以上の広さがある、あるいは変形した間取りを持つダイニングやリビングのスペース場合、快適な環境を維持するのに、通常の家庭用エアコンではパワーが足りないおそれがあります。業務用エアコンなら、家庭用エアコンを上回る馬力があるため、こうしたスペースの室温を維持するのに十分な性能を発揮できるでしょう。

 

また4、5人のスタッフIT関連のビジネスを営んでいる小規模な企業の場合は、さほど広いスペースは必要としません。そのため、業務用エアコンよりもむしろ家庭用エアコンで十分に間に合う場合もあります。

 

設置場所の広さや形状、業種などを十分に考慮しつつ、どのエアコンにすべきかを検討しましょう。

 

エアコン選びは慎重に

 

エアコン選びには慎重さが大切です。例えばヨガ教室や厨房など、室内の熱負荷が大きなスペースに馬力の小さい家庭用エアコンを設置すると、冷暖房が十分に機能せず余計な電気代がかさみます。空調環境を維持するのにエアコンも常にフル稼働するため、劣化が早まったり故障が起きやすくなったりするおそれもあります。

 

また、自宅の広大なリビングで冷暖房を利用するのに業務用エアコンを設置した場合、機能には問題なくても稼動時の音の大きさが気になってストレスが生じるかもしれません。

 

以上のような失敗を犯して購入費用や工事費用を無駄にしないためにも、エアコンを選ぶ際は、本記事で紹介したポイントなどを参考に、よく検討してから選ぶのがおすすめです。

 

業務用エアコンを家庭に設置するメリット・デメリット

先述のとおり、一般家庭でも業務用エアコンは設置可能です。自宅でエアコンを使用する際、「夏場の冷房の効きをもっと良くしたい」「空調効率を向上させたい」「冬場に家全体を温めたい」など、それぞれの希望があるでしょう。家庭用エアコンの能力だけでは力不足に感じる場合は、むしろ冷暖房能力に優れた業務用エアコンの設置を検討するのも一つの方法です。

 

ただし、業務用エアコンを家庭に設置する場合は、メリットだけでなくデメリットがあるのも事実です。ここでは、業務用エアコンを家庭に設置することを検討している人向けに、メリットとデメリットの両方をお伝えします。

 

メリット

 

業務用エアコンを家庭に設置すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。3つのポイントに分けて簡単に解説します。

 

家庭用エアコンに比べて空調効率が高い

 

第一のメリットは、家庭用エアコンに比べて高い空調効率が得られる点です。業務用エアコンはルームエアコンよりも馬力が大きい分、家庭内の広いリビングや変形したスペースなど、より短時間で設定温度に到達可能です。高い馬力により長時間にわたって快適な空調環境を維持できるので、季節を問わず居心地よく過ごせます。

 

家庭で業務用エアコンを使用すると、さらなる空調効の向上が期待できます。そもそも業務用エアコンは省エネ性能に優れた機種が多いため、空調効率が向上すればより高い節電効果も得られるでしょう。

 

見た目がスッキリする

 

業務用エアコンは、コンセントがむき出しになる家庭用エアコンと異なり、コンセントを天井に隠せるため、見た目がスッキリするのもメリットといえます。電源はあくまで屋外の室外機に直結させて設置できるので、室内で目に入るのは室内機本体のみです。

 

また、複数の室内機を接続する場合でも、個々に室外機が必要となる家庭用エアコンと違い、一つの室外機に複数台のエアコンを接続できるので、省スペースでスッキリと設置できるのも大きなメリットです。

 

長く使える

 

業務用エアコンの場合、経年劣化による耐久性はルームエアコンと比較しても優れているため、長く使えることがメリットです。設置された環境で年中安定した状態で稼動できます。

 

さらに、多くの人が利用する状況を前提に設計されているため、ホコリやチリなどに対する耐久性が高く、優れたフィルター性能を有しているのも、業務用エアコンの特長です。定期的なメンテナンスをしっかり行っていれば、安定的な稼動期間を伸ばすこともできるでしょう。

 

デメリット

 

ここまで、家庭に業務用エアコンを設置する場合のメリットを見てきましたが、逆にどのようなデメリットが考えられるでしょうか。ここでは、2つのポイントに分けてご紹介します。

 

設置に掛かるコストが高い

 

業務用エアコンはルームエアコンに比べ、エアコンの本体価格や設置工事費用が高いため、初期の導入コストがかさむ傾向にあります。

 

エアコンの設置には、壁に穴をあけたり窓枠を取り外したりなどする開口工事、冷媒配管やドレイン配管などを設置する配管工事、さらにエアコン本体の室内機と室外機の設置工事も必要です。

 

本体設置後も試運転を行い、正常に稼働するか確認できた時点でオーナーに引き渡すため、ルームエアコンを設置するよりも多くの手間が掛かります。

 

設置完了までに時間が掛かる

 

家庭用エアコンは数時間あれば取り付けられますが、業務用エアコンの場合は現地調査や工事前の打ち合わせなど、取付工事に取り掛かるまでに相応の時間を要します。先述したような工事期間も合わせて、設置完了まではおおよそ1カ月程度を目安に考えておくとよいでしょう。

 

家庭に業務用エアコンを設置する際は、事前調査から設備の取り付け、最終引き渡しまで、スケジュールに余裕を持って準備するのがおすすめです。

 

家庭用・業務用のエアコン選びに迷ったらプロに相談を

 

エアコンを設置するのに家庭用と業務用のどちらにするべきか迷ったら、プロに相談するのがおすすめです。エアコンを選ぶには、設置場所や用途、業種、機種ごとの機能の違いなど、さまざまなポイントを軸に考慮する必要があります。

 

プロに相談すれば、これまで培った経験や専門的な知見をもとに、家庭用と業務用のどちらを選ぶべきか、またどのような機種がおすすめかなど、的確なアドバイスを提供してもらえるでしょう。実際に設置する場合、相談から工事の手配、設備の取り付け、稼働後の保証も含め、すべてを一貫して依頼できるので、手間が省けるのも大きなメリットです。

 

エアコンの取り付けはミヨシテックにご相談を

 

家庭用と業務用エアコンには、冷暖房能力や機能性、電源・電圧、電気料金・契約、室外機と室内機の組み合わせなど、さまざまな点で違いがあることを知っておく必要があります。家庭でも業務用エアコンの設置は可能ですが、高い空調効率やすっきりした見た目などのメリットが得られる一方で、工事期間が長いなどのデメリットがあることも覚えておきましょう。

 

エアコンの取り付けをご検討の場合は、家庭用・業務用の両方で豊富な実績を有するミヨシテックにご相談ください。ルームエアコンや店舗用パッケージエアコン、ビル用マルチエアコンと、幅広いタイプのエアコンを取り扱っており、設置からメンテナンス、アフターフォローまで一貫して対応いたします。

 

詳しいサービス内容は、以下よりご確認ください。

 

ミヨシテックのサービス内容