エアコンガスの役割や種類、補充すべきタイミングについて解説

お役立ちコラム
エアコン

2023.11.29

Column

エアコンを使って部屋の温度を調節できるのは、エアコンガス(冷媒ガス)の働きによるものです。

 

従来使用されていたエアコンガスの中には環境破壊につながるものもありましたが、近年では環境に配慮したさまざまなエアコンガスが使われています。エアコンに使用されている冷媒ガスには、どのような種類があるのでしょうか。

 

本記事では、エアコンガスの役割や種類、エアコンガスの漏れをチェックする方法などを紹介します。

エアコンガスの役割とは

エアコンガスとは、家庭用や業務用のエアコンに入っているガスのことで冷媒ガスとも呼ばれています。エアコンガスの持つ熱を移動させる働きによって、エアコンで室温を上げたり下げたりしているのです。

 

エアコンの配管にはエアコンガスが循環しています。冷房を使う際、室外機に内蔵されている減圧器がエアコンガスを減圧し、低温の液体にします。冷やされたガスは配管を通って室内機に移動し、室内機に内蔵されている熱交換器を冷却します。室内機のファンで吸い込まれた室内の空気が冷却された熱交換器で冷やされ、再び室内に吹き出されることによって、エアコンの冷房は室温を下げることができる仕組みです。

 

また、暖房を使用するときは、室外機に内蔵されている圧縮器でエアコンガスは高温の気体になります。これが配管を通って室内機の熱交換器に運ばれます。室内機のファンにより吸い込まれたお部屋の空気が、暖められた熱交換器を通って暖かい空気になって吹き出されます。吹き出された温風によって暖房では室温を上げることが可能です。

 

 

このようにエアコンガスは、冷房と暖房のどちらを使う際も重要な働きをしています。エアコンガスがなければ、いくら高い性能を持つエアコンでも、その力を発揮できません。

代表的なエアコンガスの種類

 

エアコンガスにはいくつかの種類があり、エアコンによって使われているものが異なります。

 

ここでは、代表的な3種類のエアコンガスを紹介します。

CFC(クロロフルオロカーボン)

CFC(クロロフルオロカーボン)は、古くから多くのエアコンをはじめとして、カーエアコンや冷蔵庫、冷凍機などに使用されてきたエアコンガスです。

 

しかし、オゾン層を破壊する作用が強く地球温暖化係数(GWP)も高いため、現在では日本を含め多くの国で製造禁止となっています。地球温暖化係数とは、二酸化炭素を1とした場合の温室効果ガスによる温暖化への影響の相対値のことです。日本ではオゾン層保護法に基づき、1990年代後半には製造終了となりました。(※)

 

CFCの代表的な種類には、以下のようなものがあります。

 

  • R-11
  • R-12
  • R-502

※参考:経済産業省. 「ケミカル・ワンダータウン」.  https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/chemical_wondertown/electric/page04.html, (2023-10-05).

 

<h3>HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)</h3>

 

HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、ルームエアコンやパッケージエアコンなどに多く用いられているエアコンガスです。

オゾン層を破壊する作用が比較的低いため、CFCの製造終了に伴って代替フロンとして利用されるようになりました。CFCの製造終了後、多くのエアコンや冷凍機では、HCFCの一種であるR-22などが使用されています。

 

CFCと比較するとオゾン層破壊係数(CFCの一種であるR-11がオゾン層に与える破壊の影響を1とした場合の相対値)は低いものの、環境への負荷がないとはいえません。そのため、1996年から生産規制が行われ、2020年には製造が終了しています。(※)

 

2023年現在生産されているエアコンなどにHCFCが使用されることはありませんが、15年以上前のエアコンや冷蔵庫には使用されている可能性があります。エアコンを廃棄する際はフロン類の回収が義務になっているので、注意が必要です。

 

またHCFCを使用したエアコンなどは、後述するHFCを使用したエアコンなどと比較すると、約2倍の電力を消費します。そのため、HCFCを使用したエアコンを使用している場合、電気代がかなり高くなっているかもしれません。

 

また、HCFCは入手困難となりつつあるので、今後修理が必要になった際に修理費用が高くなったり、修理までに時間がかかったりする可能性があります。

 

HCFCの代表的な種類には、以下のようなものがあります。

  • R-22
  • R-123

※参考:経済産業省. 「代替フロンに関する状況と現行の取組について」.

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/kagaku_busshitsu/flon_godo/pdf/010_01_00.pdf, (2023-10-05).

HFC(ハイドロフルオロカーボン)

HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、HCFCに取って代わるエアコンガスとして生まれました。

 

現在製造されているエアコンや冷凍機、カーエアコン、冷蔵庫などのほとんどは、HFCが使用されています。HFCは構成分子に塩素が含まれておらず、オゾン層への影響がないことが特徴です。

 

HFCの代表的な種類には、以下のようなものがあります。

  • R-410A
  • R-32
  • R-404A
  • R-407C
  • R-507A
  • R-134A

HFCの中でもR-32は新冷媒として登場した、比較的温暖化への影響が少ないガスです。他のエアコンガスが複数の成分の混合によって構成されているのに対し、R-32は単一冷媒です。万が一漏れ出した場合でも補充がしやすく、安定した冷媒機能を持っています。

 

ただし、R-32でもGWPは二酸化炭素の約675倍に当たるため、地球温暖化への影響がないとは言い切れません。従来のエアコンガスに比べれば環境負荷は小さいですが、エアコンなどを廃棄する際は回収が必要になります。

 

また、従来のエアコンガスが不燃性であるのに対し、R-32は微燃性です。そのため、扱う際には火気などに十分注意しなくてはなりません。

エアコンガスの種類は銘板シールで確認できる

自宅で使用しているエアコンにどのエアコンガスが使用されているかを調べるには、エアコンについている銘板シールをチェックしましょう。大抵の場合、エアコンの底面もしくは室外機の側面についています。

 

ただし、製品によっては銘板シールに冷媒の記載がないものもあります。その場合は、仕様書を確認するか、メーカーに問い合わせてみましょう。

エアコンガスを補充すべきタイミング

基本的にエアコンガスは漏れ出す心配がないため、補充する必要はありません。

 

しかし、何らかの原因でエアコンガスが漏れ出てしまうことがあります。エアコンガスが漏れ出すとエアコンが十分に効かなくなる可能性があるため、その場合はエアコンガスの補充が必要です。

 

エアコンガスが漏れ出す原因には、以下のようなものが考えられます。

  • エアコンの故障
  • エアコンの内部まで掃除しすぎた
  • 取り付け・取り外しの際の不備
  • 配管パイプを接続する部品が外れている
  • 室外機のキャップが緩んでいる
  • 室外機を無理に動かしてしまった
  • エアコンの寿命

エアコンガスが漏れていないか確認する方法

エアコンの効きが悪い場合、エアコンガスの漏れが原因の可能性があります。エアコンガスが漏れているかどうかは、どのように確認すればよいのでしょうか。

 

ここでは代表的な2つの方法を解説します。

室外機の配管を見る

室外機の配管をチェックすれば、エアコンガスが漏れているか見極められます。

 

まず、エアコンを冷房モードで15分程度運転させてから、室外機の配管パイプを確認します。もし、配管パイプに霜がついているのであれば、エアコンガスが漏れ出している可能性が高いです。

 

水分がついているだけの場合はエアコンガスが漏れている可能性は低いですが、霜も水分も付着していない場合はガスが不足していることがあります。

 

また、配管が冷たくなっている場合も、ガスが漏れ出している可能性は低いでしょう。

検知液を使用する

正確に検査を行う場合は、一般的に検知液が使用されます。検知液をエアコンガスの漏れが疑われる配管の接合部や劣化部分に吹きかけてみましょう。もし泡が出てくる箇所があるのであれば、そこからエアコンガスが漏れています。

 

検知液を使った方法は、ガス漏れの場所を正確に把握したい場合にもおすすめです。検知液はホームセンターやオンラインショップで購入できます。

エアコンガスの補充は自分でできる?

万が一、エアコンガスが漏れていた場合、業務用エアコン(第一種特定製品)を充填するには冷媒フロン類取扱技術者という資格が必要です。一方、家庭用エアコンであれば自分で補充することは事実上可能です。

 

しかし、現行のエアコンに使用されているR-32は微燃性で引火する恐れがあるため、自分での補充はおすすめできません。ご自身で漏れている箇所を正確に把握するのは難しく、最悪の場合、火災や爆発を起こしてしまう可能性もあります。家庭で業務用エアコンを使っているケースもあるため、安易に行わないようにしましょう。

エアコンガスの補充は業者に任せるのがおすすめ

前述したとおり、エアコンガスが漏れ出していた場合、自分で補充することは基本的には     おすすめできません。適切にエアコンガスを補充するためには、業者に依頼するようにしましょう。

 

業者なら正しい知識やノウハウを持っているため、適切な方法でエアコンガスの補充ができます。

 

ただし、業者が作業を行う場合でも、すでに入手できないエアコンガスを使用している古いエアコンの場合は、補充ができない可能性も高いです。エアコンガスが入手できない場合は、エアコンの買い替えを検討しましょう。

エアコンガスの漏れかな? と思ったら業者に相談しよう

エアコンガスの役割やエアコンに使用されているエアコンガスの種類、漏れていないかどうかの確認方法などを紹介しました。紹介したとおり、エアコンガスは大きく分けると、CFC、HCFC、HFCに分類され、現行のエアコンの多くはHFCが使用されています。

 

エアコンガスは基本的に補充する必要はありませんが、エアコンの効きが悪い場合は漏れているかもしれません。スムーズに原因を突き止め、正しく補充を行うには業者に相談するのがおすすめです。

 

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