パッケージエアコンとは? メリットや選び方を解説

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エアコン

2023.10.17

Column

オフィスや店舗にエアコンを導入する際は、家庭用ではなく業務用を選ぶのが一般的です。オフィスや店舗に導入される業務用エアコンにはいくつかの種類があります。その中の一つがパッケージエアコンです。

 

この記事ではパッケージエアコンの特徴や他の業務用エアコンとの違い、導入するメリットなどを解説します。

パッケージエアコンとは

パッケージエアコンは業務用エアコンの一種です。パッケージエアコンの「パッケージ」とは包装、荷造りという意味以外にも「ひとまとめにする」という意味があります。パッケージエアコンでは「ひとまとめにする」という意味で用いられています。

 

パッケージエアコンは、室外機から電源をとる仕組みです。したがって、室外機が稼動している場合は、接続されている室内機はすべて稼働するようになっています。

 

パッケージエアコンが用いられる場面

パッケージエアコンは一般的に家庭ではなく、店舗や飲食店、ショッピングモール、オフィス、工場、ホテル、病院、教育施設、ホールなど、広い空間で用いられる傾向にあります。

ビル用マルチエアコンとの違いは

パッケージエアコンのように店舗やオフィスなどで用いられるのがビル用マルチエアコンです。パッケージエアコンとビル用マルチエアコンの違いは、室内機と室外機の関係性にあります。

 

パッケージエアコンの場合、室外機に電気をつなげて室内機に電気を共有します。一方、ビル用マルチエアコンは室内機、室外機は別々に電気を供給する仕組みです。そのため、ビル用マルチエアコンは複数の室内機を別々に操作可能です。例えば、部屋やフロアごとに温度の調節ができます。しかし、費用はパッケージエアコンを上回ってしまう傾向にあります。

 

パッケージエアコンは多く4つの種類に分けられる

パッケージエアコンは大きく次の4つに分けられます。

 

  • 店舗・オフィス用
  • ビル用
  • 設備用
  • ルーフトップ型

 店舗・オフィス用

一般家庭向けのエアコンは室内機と室外機が対になっています。同様に、店舗やオフィス用のパッケージエアコンも室内機、室外機が対になっているのが特徴です。店舗・オフィス用と一言で括っても、種類は次のように細分化されています。

  • 天井カセット型
  • 天吊型
  • ダクト型
  • ビルトイン型
  • 壁掛け型
  • 床置き型

このようなさまざまな種類の中から、自店舗や自社の状況にあったパッケージエアコンを選びます。

ビル用

ビル用のパッケージエアコンは一つの室内機に対して、エアコンの能力に応じていくつもの室外機を設定可能な点が特徴です。店舗やオフィス用パッケージエアコンと同じく、天井カセット型、天吊型などさまざまな室内機が用意されています。

 

設備用

家庭用、店舗・オフィス用と同じく室内機、室外機が対になっているのが設備用のパッケージエアコンです。設備用のパッケージエアコンは空冷式と水冷式に分かれ、大きな工場やコンサートホールなど、広い空間に用いられる傾向にあります。

 

ルーフトップ型

店舗・オフィス用やビル用、設備用は室内機と室外機が分かれているのに対して、ルーフトップ型は室内機と室外機が一体になっているパッケージエアコンです。ルーフトップ型は室内機、室外機が一体になっているため、給排気はダクトで行われます。

 

パッケージエアコンの室内機は6種類

先述のとおりパッケージエアコンの室内機の種類は、次の通りです。

  • 天井カセット型
  • 天吊型
  • ダクト型
  • ビルトイン型
  • 壁掛け型
  • 床置き型

ここではパッケージエアコンの室内機の種類ごとの特徴をご紹介します。

 

天井カセット型は広く導入されている

天井カセット型はパッケージエアコンの中でも広く導入されているタイプです。天井カセット型は工事を施して天井にはめ込みます。室内機を天井にはめ込めるため、室内が広々となるのが特徴です。

 

天吊型は天井のスペースを問わない

天井に室内機をはめ込む天井カセットに対して、天吊型は天井に室内機を吊り下げるタイプです。室内機、配管が外から見えてしまいますが、天井のスペースを気にせずに設置ができるという特徴があります。

 

ダクト型は吹出口と吸込口をつなぐ

ダクト型は一般的に、天井内に埋め込む隠ぺいタイプのものが多いです。

さらに、吹出口と吸込口をダクトでつなぐのが特徴です。室内機を目立たずに設置できる上に、吹出口と吸込口を別で設置できるため、レイアウトの自由度が高まります。しかし、天井に広いスペースが必要で施工費用も高くなる傾向にあるのが特徴です。

ビルトイン型は吸込口が室内機本体に付属

ビルトイン型は天井カセット型と同じく、室内機を天井にはめ込む型です。また、ダクト型のように吹出口と吸込口が別々になっています。

壁掛け型は家庭用エアコンのような見た目

壁掛け型は家庭用エアコンのような見た目が特徴です。しかし、多くの壁掛け型のパッケージエアコンはブレーカーから直接電気を供給します。そのため、壁掛け型と家庭用エアコンとでは電力の供給方法が異なります。

 

床置き型は設置しやすい

床置き型は他の型と比べて設置しやすいというのが特徴です。床置き型の場合、成人の目の高さほどの位置から送風されるため、涼しさ、暖かさを伝えやすい傾向にあります。しかし、直接風があたってしまうため、人によっては不快感を感じてしまうかもしれません。

 

パッケージエアコンを導入する3つのメリット

パッケージエアコンを導入するメリットは以下の3つです。

 

エアコン取り付け時の電気工事が削減できる

1つ目のメリットは、エアコン取り付け時の電気工事が削減できることです。パッケージエアコンはビル用マルチエアコンと異なり、一つの室外機から複数の室内機に電気を供給します。一方、ビル用マルチエアコンは室内機、室外機で別々に電気を供給する必要があります。そのため、ビル用マルチエアコンは取り付け時に大がかりな電気工事が必要です。しかし、パッケージエアコンであれば取り付け時の電気工事を削減可能です。

 

一つのスイッチで複数のエアコンを操作可能

2つ目が、一つのスイッチで複数のエアコンを操作できることです。そのため、パッケージエアコンは複数のエアコンを同時に稼働させることができます。スピーディに複数台のエアコンを動かせるため、仕切りのない広いフロアや会場であれば、室内を適切な温度に整えやすいでしょう。

 

施工費用や工期を抑えられる

3つ目は、施工費用や工期を抑えられることです。パッケージエアコンは取り付け時の電気工事を削減可能です。そのため、ビル用マルチエアコンよりも施工にかかる費用を抑えられる傾向にあります。また、電気工事にかかる期間を削減できるため、工期も抑えられるのが特徴です。

 

パッケージエアコン導入時に覚えておきたい注意点

パッケージエアコンは電気工事を削減できるため、施工費用、工期を抑えられます。しかし、選択できる機種が限られてしまうという注意点を覚えておきましょう。パッケージエアコンは、室外機とエアコンがセットで販売されています。そのため、室外機、エアコン別々で希望の機種を用意することはできません。

 

また、ビル用マルチエアコンよりも冷媒配管が短いため、配置の自由度が低いのもパッケージエアコン導入時の注意点です。

 

パッケージエアコンかビル用マルチエアコンで迷ったら

パッケージエアコンを導入するか、ビル用マルチエアコンを導入するかで迷った場合、次のポイントを意識してみましょう。

 

部屋の構造

1つ目のポイントは、部屋の構造です。部屋の構造でパッケージエアコンかビル用マルチエアコンかを選ぶ際は、仕切りがあるかどうかで異なります。

 

仕切りのない空間であれば、パッケージエアコンの設置がおすすめです。パッケージエアコンであれば、複数のエアコンを同時に稼働させることで室内全体の温度を整えられます。

 

部屋の用途

2つ目が、部屋の用途です。パッケージエアコンとビル用マルチエアコン、どちらを導入するかは、部屋の用途によって異なります。例えば、シェアオフィスのように個室が多く、部屋を使用する頻度、用途が異なる場合はビル用マルチエアコンが適しているでしょう。使用していない部屋のエアコンは電源を切るといったように、部屋の状況に応じて使い分けが可能です。

 

パッケージエアコンの3つの選び方

パッケージエアコンは室外機とエアコンがセットになっているため、選択肢が狭まってしまうかもしれません。そのため、導入にあたっては失敗しない選び方を心掛けましょう。パッケージエアコンを選ぶ際は次のようなポイントに着目するのがおすすめです。

 

メーカーで選ぶ

まずは、メーカーで選ぶ方法です。パッケージエアコンは多くのメーカーから発表されています。メーカーによって消費電力を抑えられる、軽量、複数の吹出口から送風されるなどの違いがあります。そのため、各メーカーが発表しているパッケージエアコンの特徴を導入前に把握しておきましょう。

 

設置場所から選ぶ

次が、設置場所から選ぶ方法です。パッケージエアコンは設置する場所の面積によって求められる馬力が異なります。設置する場所の面積が広ければ広いほど必要な馬力は多くなります。そのため、設置を依頼する業者に面積を伝えて、適した馬力のパッケージエアコンを選びましょう。

 

設置個数で選ぶ

最後が、設置個数で選ぶ方法です。一つの場所に複数の室内機を設置する場合、空間の形を考慮します。例えば、細く長い場所に設置するのであれば、遠くまで風が届く天吊型や床置型が適しています。一方、スクエアな空間に設置する場合は、四方に風を送れる天井カセット型がおすすめです。

 

パッケージエアコン導入時は耐用年数とメンテナンスが重要

パッケージエアコンを導入する際は、まずは耐用年数を把握しておくことが大切です。また、使用する頻度や設置環境などを考慮し、適切なタイミングでメンテナンスを実施しましょう。

 

パッケージエアコンは導入すればそのまま使用し続けられるわけではありません。一般的に、パッケージエアコンの耐用年数は6~15年ほどとされています。また、次のような原因で耐用年数はさらに短くなります。

  • 頻繁に稼働と停止を繰り返している
  • 24時間運転のように長時間な稼働が多い
  • 温度や湿度変化の激しい環境で使用している
  • 塩害が発生する地域で使用している
  • 温泉地帯のように硫化ガスが発生する地域で使用している

少しでも耐用年数を延ばすためには定期的なメンテナンスが大切です。定期的なメンテナンスは耐用年数を延ばすだけでなく、ランニングコストの増加も抑えられます。

 

パッケージエアコンを構成するフィルターや熱交換器などをメンテナンスせずに稼働させていると、消費電力が増加しかねません。定期的なメンテナンスをしなかった場合、メンテナンスをしたパッケージエアコンよりも消費電力が大きくなる傾向です。

 

パッケージエアコンの特徴を押さえて導入しよう

パッケージエアコンとは業務用エアコンの一種を指します。電源は室外機から取っており、そこから室内機に電気が供給される仕組みです。

 

パッケージエアコンは店舗や飲食店、ショッピングモール、オフィス、工場などで用いられていて、店舗・オフィス用、ビル用、設備用、ルーフトップ型の4種類に分けられます。また、室内機の種類も天吊型、ダクト型、ビルトイン型、壁掛け型などに大別されています。

 

パッケージエアコンは同じく業務用のエアコンであるビル用マルチエアコンよりも、施工費用や施工期間を抑えられるのがメリットです。しかし、選択できる機種が限られてしまうので注意しましょう。

 

パッケージエアコンを選ぶ際はメーカーや設置場所、設置個数から選ぶのがおすすめです。また、パッケージエアコンは使用状況によって耐用年数が縮まってしまいます。一般的にパッケージエアコンの耐用年数は6~15年ほどとされています。そのため、少しでも長く使うには定期的なメンテナンスを心掛けましょう。メンテナンスは耐用年数を延ばすだけでなく、ランニングコストの増加抑制にもつながります。